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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2023/04/17

未来への挑戦2022─アーユスNGO新人賞受賞者に聞く_5


◎質疑応答

司会 すごく面白い質問が来てますね。「割田さんの髭は仕事柄必要なんですか?」

割田 えー、必要だと思います。というのも私が赴任した当時は22か3だったんですけど、こちらの方に「若く見える」と言われまして。22、3歳といえども、現地ではローカルスタッフのモチベーション向上させるような役割もあり、また現場のプロジェクト管理のマネージャー的な要素が強くなっていて、提携団体や一緒に働く同じようなマネージャー的なポジションの人とお話をする際、私が会議の場所に現れると「君の上司はいつ来るんだい」っていうことを言われて。今日は私だけですって話すと、「え、君はティーンエイジャー、十代の若者じゃないか」みたいなことを言われてまともに取り合ってもらえないみたいなことが何回かありました。どうしようかと思って、貫録を出そうと色々試行錯誤した結果、髭を生やしたんです。特にレバノンなどアラブの国ではいまだに年功序列だし、ステータスなどが仕事でも日常生活でもいろんな手続きに影響することがあって、服装も場所によって変えています。それをすることで業務が楽になったこともあったので、私は髭を生やすようにしています。まぁ、今はもう必要ないかもしれませんけど。

司会 もうみんなに顔が知られたし、もう必要ないぐらい貫禄がついてきたということですね。
佐久間さんには「カンボジアの方と仕事していてお国柄みたいなのを感じることはありますか」という質問です。

佐久間 私自身があんまり意識したことは正直ないですね。クメールルージュの時代に教育のトップにいた人たちなど知識人たちが虐殺されたところなので、すごくトップダウンでなかなかで自発的な意志を出せないとは一般的に言われますが、活動していて私がそれを肌で感じるかって言われると、そうでもありません。私自身、カンボジア人だからこうとか日本人だからっていうのはあんまり意識していないし、考えないようにはしています。
 一つ言えるのは、みんな写真撮ることやフェイスブックは大好きです。カンボジアの携帯普及率ってめちゃめちゃ高くて、文字が読めなくてもフェイスブックアカウントだけは持ってるなど、好きな人が多いのはありますけど。答えになってなくてすいません。

司会 「国籍意識しないって、佐久間さん素晴らしいです」というコメントをいただきました。もうひとつ佐久間さんに「国際協力に憧れを持ったきっかけになったことがありましたか」の質問です。

佐久間 私は緒方貞子さんに憧れたのがスタートでした。「国内避難民」っていうそれまでなかった定義によって、「難民」の定義をある種、覆して、迫害されている人のところに介入していく、そういった意志の強さに、日本人であり女性としてというところもですが、そういう精神に憧れたことが一つだったかなと思います。

司会 次は、ダハルさんに質問です。「ネパール出身者として日本のNGOで働く上での強みもしくは大変なことはありますか。またアジア以外で活動してみたいところはありますか、関心があるところありますか」

ダハル ネパール出身者としてNGOで働く強みは、現場の経験があることが一番だと思います。ちょうどCOVIDの時期だったので、現場経験どころか、現場訪問もできませんでしたが、私にとっては母国なので。(現地の)課題を自分で経験しているというところが強みかなって思います。私の実家は田舎で、教育問題や開発の問題は日々自分で感じていたことなので、そういったところも強みではないかなって思います。
 大変というのは、日本語が難しいことが一つ、日本語を書くこと以外では、私が外国人で活動しているとあんまり思わないんですけど。
 もう一つの質問、アジア以外での活動というのは、今まで南アジアと日本以外での経験はあまりないので、東南アジアなどは経験してみたいなとは思っていますが、アジア以外のところは正直、まだ検討もしてないですね。

司会 日本のNGOはどうしても国内は日本人が多いのですけど、ダハルさんみたいな方がどんどん活躍していくのは私たちの学びにもすごくなるなと思います。「行動派らしいスディップさんのコメントありがとうございます」というメッセージが来ています。

◎今後に向けて─未来への挑戦

司会 最後に今後の展望、これからやりたいことをお願いします。アーユスの支援者やお寺の人たちへの提案、新人賞はこうだといいねという希望も聞かせてください。

割田 今後の展望は引き続き支援を続けていくということです。特にメンタルヘルスの分野は、今後より困難が増える中で必要性を増していくと思います。こういった問題は先進国だとか途上国に限らずその時々に生じるもので何年もかかるので、この活動は継続していきたいと思います。教育ももちろんで、子どもの未来をつないでいくための活動は続けたいです。個人的にも、色々専門性をつけたりして、事業にいろんなフィードバックができるようになればと思っています。あとはシリア・トルコで大きな地震がありましたが、そういったレバノンにも少なからず影響が及んでいます。私自身も仙台市で東日本大震災を経験していて他人事ではなく、何かできることがあれば積極的に関わっていきたいなと思っています。新人賞は若手職員の励みになると思いますし、今後もぜひこうしたイベントも含めて続けていただければと思っています。

佐久間 本当に大きなことはいえないんですけれども、企業からNGOに入ってきて、すごいなというか強みと思ったところは、ネットワークや繋がりがあるところです。私はまだまだそれがつくれてないんですけども、国際協力の業界ってすごく狭い世界とも言われるので、つながりを大切にしながらこれからも活動していきたいです。いま、シェアが30年以上活動しているカンボジア事業の担当をしていますが、プライマリヘルスとか母子保健とかの軸がありながらも、現地の課題は、栄養もそうですし、過体重だったり成人病だったりと変化し、世界も経済状況や災害など色々変化しているのはすごく感じているので、自分自身もついていけるように、日々もっともっと、この保健の分野の潮流にはいつもアンテナを巡らしながら、ローカルで意識しながら活動していきたいなとすごく思っています。

ダハル NGOは、様々な活動を様々なところでしていても、目指しているところは世界中の人々が安心して暮らせるような社会づくりだと思います。この中で力を合わせてやっていければなと思います。今、世界中から様々な問題が出てきまして、災害に加えて社会問題とか経済問題、全ての問題に対して協力はできないかもしれないですけど、まず自らできるところをもち、小さなところでもまず自分でやっていきましょう。それを皆様にお願いするのと同時に、みんなで力を合わせて、目指していることをゲットできるように頑張っていきましょう! 今後ともぜひよろしくお願いします。

司会 皆さん目の前のことだけでも大変なことがたくさんあると思うんですけれど、変化していく世界に対してもそれぞれアンテナを張りながら、勉強されたりいろいろ努力されているところが見えて、本当にありがたいなと思います。「新人賞」と言っても、そろそろ中堅になりつつある皆さんだと思いますので、これからも無理し過ぎない程度に、いろんな息抜きもしつつ頑張っていただきたいです。

 アーユスも対面で集まれない状況が続きましたが、アーユス賞を通じていろんなお話もうかがえるし、いろんな方を繋ぐネットワークの役割の一つを担えているかなと思います。このような機会を今後も増やしていけたらと考えています。
 今日ご参加いただいた皆さんも、それぞれ「あ、いい未来をつくりたいと頑張ってる人たちがいたな」と思い出しつつ、なにかの折にご協力をいただけたらと思います。
 では今日はこの辺で終わりにしたいと思います。皆さんありがとうございました。