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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2023/04/17

未来への挑戦2022─アーユスNGO新人賞受賞者に聞く_4


◎若手からの視座:NGOの課題とは

司会 それぞれの団体の課題もありますが、他団体や他事業にも共通する「NGOが共通して抱える課題」ではないかなというものがあれば教えてください。

佐久間 他のNGOさんとこういったことについて語ることがないので、本当に主観になりますが、新卒でなくてもNGOってすごく狭き門です。また。私自身、企業での経験が生きてくるところはもちろんありましたが、どうしても全部やらなくちゃいけない所があるので、そういう難しさはあります。非営利でやっていく中で、財政面のファンドレイジングと事業運営を両立させることの難しさと言いますか、こういうプロジェクトやりたいという気持ちと、それに見合う財政的なリソースが合致するところでしかプロジェクトはできません。慢性的に財政的に厳しいことはあるのかなと感じます。

ダハル 佐久間さんがおっしゃったことに丸々賛成ですが、私たちも財政が厳しいなかで、支援者からいただいた寄付でもっと多くの活動をしたいと現地の活動実施が最優先になるので、管理システムの導入などは後回しにされてしまうんですね。それで業務の効率には影響が出るんじゃないかと日々感じています。企業とは違って、システム導入にはお金をかけてできないのが課題でしょうか。

割田 やはり職員の確保、特に若手の職員ですね。私は大学からそのまま新卒で入ったんですけども、当時は同年代の職員がどこの団体も含めてなかなかいなくて少し寂しい思いをしました。私も地方の小さな大学とは言いましたが、やはり関わってみたい気持ちを持った学生がいました。そういった人が入るのが難しい。業界の特性上、人の入れ替わりが激しいことや即戦力が必要ということはあるんですが、そこのバランスをうまくとることが課題だと思っています。

司会 本当ですね、気持ちを持っていてもなかなかチャンスがなかったり、たどりつく方法が分からなかったりという人たちが、もうちょっと分かりやすくなればいいなと思います。
 ところで、割田さんは現場でストレス解消法とかありますか。

割田 3年半ほどこちらにいるんですが、私がこちらに来てから電力状況があまり良くないので、街中の娯楽などが限られていた時期がありました。それで電力に左右されないような趣味を作ろうと、週末に少し山にハイキングに行ったりしています。

ダハル 私も登山好きなので、山に行ったりして自然を楽しむというところですかね。アウトドア派なので自然を楽しむことをけっこうしますね。

◎先輩へ、そしてこれからNGOに参加するひとたちへ

司会 ではここで、お世話になってきた方や先輩など上の世代に伝えたいこと、後輩やこれからNGOに参加する人たちに伝えたいメッセージをお願いします。

佐久間 私自身は本当に国際協力の業界に憧れて、今も設立当初からの先輩たちの背中を見ている中で、私が憧れる人たちに共通しているところは、軸がブレてないところでしょうか。ご自身も大変なことを経験しながらも、信念と言いますか、困難の中にある人を助けたいという思いを貫いて、形にしていく生き方っていうのは本当にすごいなといつも思うんです。シェアであれば、Health for all、全ての人たちに健康をという軸で、大切にしたいことをぶらさず、本当に必要なことのために、小さくても世界を変えていく活動してるんだっていう想いを持つことを、先輩たちから学びながら私自身も手をしっかりと携えていきたいなって思っています。

司会 佐久間さんは、学生時代から読んでいた本(『Where is the no doctor(医者のいないところで)』)をシェアが日本語版で出版していたご縁もあったんですよね。そういうのを引き継いで、次に行くって思ってくれる存在はありがたいと思います。割田さんはどうですか。

割田 そうですね、「若手職員をもっと」って言ってみたものの、先輩方には本当にお世話になっていて、自分が当時最年少だったことで色々いい思いもさせていただきましたし、もう少し時間たって自分よりももっと若い人が来た時には、先輩方にしてもらったように私もしたいなと思います。できるだけNGOの業界が若手に優しいというか、そういった業界になるように私も今後、橋渡し役を担っていければなと思っています。

司会 打ち合わせの時に「国際協力の業界、ちょっと人気なくなってきてるんじゃない?」みたいな話も出たりしたんですけど、高い関心持って積極的にやってくれる仲間がいたら、私たち自身が魅力を伝えていかなきゃいけないなと思いますね。ダハルさん、どうですか。

ダハル 私たちが日常やっている業務は皆様(先輩)が頑張っていたからこそできているわけで、今までどれだけ苦労して活動をここまで広げてきたのかと感じることもたくさんあります。私たちももっと広げて行きたいと思う一方で、国内の問題が増えていまして、国際協力とか海外の問題に注目、スポットライト当てるのはなかなか難しいって思います。でも国際協力とか海外の問題も直接的に私たちの日常にも関わってきますので、遠いところの問題ではなくて身近な問題として後輩の皆様も感じていただいて、今後一緒にNGOがもっともっと活躍できるように協力しあうのも必要かなって思います。

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