文字サイズ

特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

会員になるには

国際協力の現場から

国際協力の現場から2023/04/17

未来への挑戦2022─アーユスNGO新人賞受賞者に聞く_2


◎NGOに関わったきっかけ

司会 同じNGOでもそれぞれ立ち位置が全然違いますが、どうしてNGOに関わるようになったかを聞かせてください。

割田 日本の外の世界や国際協力に興味を持ったきっかけは、高校生のときにたまたま『世界がもし百人の村だったら』という本を手にしたことです。そこでは、世界を百人と考えるとその中の何人が難民で何人が戦争下で暮らしているといったことが数字で表されていました。それを当時の高校のクラスメートの数に当てはめて、クラスのうち何人が難民で何人が戦争の中で暮らしているのかっていうことを考えた時に、そこで何かできないかなって考えるようになったんです。大学に入ってからは、大学のうちに何が必要かを考えながら自分なりにやろうと思って四年間を費やし、終わった後にちょうどタイミングよく今の団体に誘っていただきました。
 中東に関心が向いたのは、大学一、二年生のときです。ちょうどその頃いわゆる「テロ」というものがヨーロッパあたりで多くなった時期で、どうしてそういうことになってしまうのかその背景を調べた時に、どうも中東のパレスチナというところの問題が絡んでいることをなんとなく学びました。そこからパレスチナ、レバノン、シリアといった中東に関心を持つようになりました。

司会 学生の時そういうことに関心を持っている方、そういう話をする仲間はいたんですか。

割田 私はずっと東北地方のちっちゃい大学にいまして、日本はおろか東北からもなかなか出ようとは思わない友人が多かったので「ちょっと変わったやつだな」と思われていたかもしれません。

司会 そうだったんですね。佐久間さん、お仕事にいったん区切りをつけてNGOに関わられた経緯や、一番初めの関心を持った動機から教えていただけますか。

佐久間 私は元々、国際協力のお仕事をしたいという思いがずっと根底にありまして、最初にたまたまご縁があったのが開発コンサルタントで、JICAの事業の下請けをしたことが始まりでした。そこでの仕事もやりがいはありました。国際協力ってNGOも一つですけど、国連だったりJICAなどの政府系だったり一般企業ももちろんあって、いろんなアプローチの仕方があるなかで、企業としてJICAの事業を受けて実施していました。しかし、期間を区切ってプロジェクトの終了とともに撤退しなくちゃいけないことや、企業としてどうしても利益を出さなきゃいけないってことが経営上あるわけです。
 私自身は、技術協力のプロジェクトを見るなかで、本当はもうちょっと現地での支援ができたらいいだろうと思いながらも終了させるのを経験して、もっと現場に近い形で草の根レベルでできるのがNGOなのかなと思い、NGOの業界をすごく見てみたいなと思うようになりました。ちょうど私自身が公衆衛生の修士号(MPH)をとったこともありまして、その専門性と合わせて勉強したいなと思ったのが始まりです。

司会 ダハルさんはどうでしょうか。

ダハル 今振り返ってみると──振り返るほど長くないんですけど、私の国際協力の始まりは東日本大震災の時にネパールの大学で行った募金活動だったんです。大学時代にボランティア活動をけっこうやってまして、日本に来る時にも、ネパールで自分は様々な教育問題などの社会課題を自分で経験していたので、誰かのために働きたいとずっと思ってたんです。
 大学院での研究内容もNGOの事業や活動についてだったので、いつかはNGOで働きたいと思いながらも、まずは一般企業に入職しました。先ほど佐久間さんが言われたとおり、「利益利益利益」って思いながら仕事をしていました。毎日、大丈夫なのか、これでいいのかと自分で疑問に思っていて、誰かのために働きたいって思っているのに利益のために働いていいのかと考えていたところに、ちょうどチャンスがあって今のところにいるというところですね。

司会 どうやってシャプラニールを探したんですか。

ダハル ネパールの農村開発のことを研究していたので、パートナーシップで活動しているシャプラニールについては調べていたこともあって、私のgoogleの検索リストの一番トップにあって、自分で調べたときにチャンスに出会えました。ご縁ですね。

司会 でもネパールの事業ではなく、ファンドレイジングの仕事を担当されているわけですよね。

ダハル 皆さんに「ネパール出身だからこの活動してよ」とか「この活動、何でやらないんですか」って結構言われるんですけど、私は逆に自らの経験もあって現地の課題も知っているからこそ、バイアスがうまれて、どこか偏ったりとかする危険性もあると思います。NGO歴もそこまで長くないから、まず基本から全て自分で勉強した上で、将来的にそういった活動に直接的に関わるポジションに就くのがいいかなと思い、今あえてちょっと距離を置いて、別の業務をしています。NGOの基本はファンドレイジングなので、そこから始めているわけなんです。

□□□