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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2023/01/30

街の灯#3暴力に頼らない社会にむけて、光を当て続ける


アーユスが光を当てるNGOや活動現場をご紹介。光の先に見えるものは・・・・?

第3回:アフガニスタンで地域からの平和づくり
「暴力に頼らない社会にむけて、光を当て続ける」

○平和村ユナイテッドとは
現地パートナー団体と連携しながら、紛争や暴力が身近にある環境を変えて、平和を実現することをサポートする活動に取り組んでいる。現在、アフガニスタンとパキスタンで平和活動を実施。日本国内での情報発信や日本と現地の交流や連帯の促進にも努めている。(活動紹介はこちらから

 「光の当たらないところに光を」という視点から、アフガニスタンやパキスタンでの平和活動に取り組む、平和村ユナイテッドの小野山亮さんにお話を伺いました。

●光が当たる時と忘れ去られる時
―一昨年のタリバンによるアフガニスタンの実権掌握など、アフガニスタンは注目される時もあるのですが、これまで関わってこられてきて世間のアフガニスタンへの関心のありようについてはどのように感じますか。

(小野山)アフガニスタンに光が当たっていると思う人はいると思います。それは、光が当たらない時間が長く続いた結果、ものすごく悲惨な状況になって注目が集まることを繰り返しているからです。旧ソ連がアフガニスタンに侵攻した時も、世界中から光があたりました。しかし、旧ソ連が撤退するとその光はすーっとひいて、その後、長く続く内戦の時代は光が当たらないままでした。太陽がさんさんと当たったあとに、真っ暗な氷河期が訪れたようなものです。
 そのあと911米国同時多発攻撃に続く外国の軍事介入があり、それでまた注目を浴びました。その後、また治安が悪化する一方でしたが、だんだん忘れ去られていきました。
 そして2021年の8月の激変によってまたまた注目を集めましたが、既に忘れられていっています。今も現地の状況はかなり混乱して経済状況も悪化したままですが、外部からは支援したくても難しい。現地の状況が混乱している時は、連携するのも難しいんです。今、外国からの送金が難しいのも、現地が安定していないからです。このような状況が続くと、連帯や支援が減り、現地の状況は尚更悪化することになります。
 このまま光が当たることがなければ、過去と同じような悲惨な事がまた起きかねないと思います。

㈪「緑のピースアクション!」植樹をし、その場所を平和公園としていく活動!


―平和構築という活動への人々の関心の持ちようはいかがでしょうか。

(小野山)平和村ユナイテッドのような小規模な団体で、成果がすぐに生まれないように思われる活動をしていると、サポートや共感をいただきにくく、より多くの方に支援者になっていただくのも大変です。そういうこともあって、アーユスの皆さんが私たちの活動に光を当ててくださっているのは本当にありがたいです。支援をいただいていなかったら活動も継続できなかっただろうと思います。

○小野山亮さん
幼少期に父親が韓国に単身赴任をしたことを通じて、戦争と平和、民族などについて考え始めるようになった。世界中にある数々の紛争や争いに、組織や団体でも、一人の市民でもそれぞれにできることがあるはずだと、これまで主に、平和、民族などの分野に関わり、市民としての立ち位置で現場に寄り添う活動を行うNGOの世界に身を置いてきた。前職でアフガニスタンでの活動に取り組む中で、平和をつくる活動を目的そのものとした団体の設立への思いが強くなり、2019年に「平和村ユナイテッド」を設立。以来、地域の人々による平和の学び合いや平和の取り組みを支えている。

●孤独からの開放 ・・・光を当てた先
―平和村ユナイテッドがアフガニスタンに光を当てるから、私たちもそこで起きていることを知り、アフガニスタンを忘れること無くいられると思います。

(小野山)これだけ厳しい状況でも平和を作ることをあきらめない人たちが、現地にいる。絶望的な世界で立ち上がっている人がいる。こうした人たちに光が当てることで、自分たちも忘れられていない、一人じゃないという精神的なサポートを感じてもらっていると思います。実際にそれで次に進んだ事例も生まれています。過激な思想を持つ人間の一人だったが平和活動に関わることで変わったという人もいますし、また、暴力をなくすことを周りの人たちに伝えている人がいるんですね。それは新な光となって次の人に当たっています。少しずつ、光の当たっているところが広がっています。
 ある女性が、教育を受けたい、学びたいという思いを綴った詩が私たちのところにも届きました。タリバンによる統治が始まって、女性の教育がかなり制限されています。以前は、女性でも高等教育を受けることができましたが、現在は、小学校6年生までしか学校に行くことが認められていません。そのような中、その女性が思いを詩に込めることすら勇気が必要だったことと思います。それでも私たちの活動に関わる人づてでこの詩が伝わった。私たちの活動があったから、この詩が届き、その女性の思いが伝わったのです。

●平和に向けてユナイト! 互いに光を当て合う

―アーユスからの資金協力は3月で終了となりますが、今後も様々な形で共同できれば嬉しいです。

(小野山)アフガニスタンやパキスタンや、日本など各国で平和を求めるひとたちが、「平和」を軸にユナイトすることが目的のひとつです。日本では、平和村ユナイテッドのボランティアの皆さんを「村人」や「村民」と呼ばせていただき、随時、現地の人たちとオンラインで交流できる場を持っています。あるパキスタンの青年は、こうした交流に参加した時、初めて国際社会と交流したので、とてもポジティブな気持ちになったと言っていました。アーユスの皆さんだけでなく、現地の外の皆さんが現地とつながるのも、現地に光を当てる方法のひとつです。現地から励まされたり、感動をもらったりすることも多いです。それは光をお互いに当てあうこと。そのチャンネルになれたらいいと思います。
 現地には仏教遺跡も残されているので、アーユスの支援者の皆さんで関心を持つ人もいると思います。オンラインツアーなどを企画できるといいですね。これからも一緒に光を当て続けられたらうれしいです。

●平和村ユナイテッドの取り組み

①アフガニスタン
「アフガニスタン・ピースアクション」と呼ばれる平和教育と地域住民による平和の取り組み支援を行っている。長い戦乱の中で、暴力や復讐が続く構造を断ち切りたいという思いから、平和や非暴力ってなんだろうと地域の人びとが学び合って、実際に平和に生きることを実践するお手伝いをしている。暴力など大きな力に頼っていた現地の人が、対話など非暴力の問題解決手段があることに気づき、活動を始めたのが特色。
②パキスタン
「平和にユナイト!パキスタンにおける青少年の地域平和活動とアフガニスタンとの連帯」
 現地の人たち自身が身近な事例をもとに、非暴力による問題解決方法を学び、地域で平和のためのアクションをする。青少年の活動を主にサポートするのが大きな特徴。アフガニスタンからの難民も多く、アフガニスタンとの国境地帯で戦争や紛争が続いたこともあり、両国の平和人の連帯(ユナイト)をすすめるための経験交流や信頼醸成を地域レベルで生み出す活動。
③日本 
 現地の人びとが活動するための費用は不可欠。光が当たらないところで苦しみ、辛い状況に置かれている中でも平和の活動をしようとしている人たちと連帯することが大切。私たちのことを知っている人がいるんだ、サポートしてくれる人たちがいるんだということに現地の人たちも励まされるので、現地で起きていることなどの情報発信や連帯を行っている。
 またPeace for Afghanistan、Peace for Pakistanと書いた紙を掲げた写真をアップするなどの連帯も行っている。現地で行われていることをポジティブに発信する、現地の取り組みを前向きに明るく発信する、日本からも連帯することで、現地からも励まされていると言われている。発信・連帯・提言活動が主な日本での取り組み。

アーユスだからこそできることがあります。ひとつでも多くの光が灯るよう、寄付でご協力お願いいたします。

1.アーユスは多様なNGO(市民団体)と連携しているために、様々な地域やテーマに対応することができます。

2.アーユスが応援するのは大きな資金が集まりづらい活動や団体。みなさまからのご寄付が確実に生かされます。

3.社会の改革や課題解決だけを目ざすのではなく、それを生み出す人間の価値観や考え方が柔軟なものになるよう、様々な研修や働きかけをおこなっています。