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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2022/03/30

第8回脱軍備・平和基礎講座を開催(ピースデポ)


 ピースデポは1月22日に第8回脱軍備・平和基礎講座を開催しました。テーマは「迫り来るAI・ロボット兵器の時代」で、講師はピースボートに所属している畠山澄子さんでした。ここでは、畠山さんの講義を聞いて学んだことをお伝えします。

 畠山さんのお話によると、人間が判断しなくても殺人できるロボットができつつあり、陸海空で無人自律型の兵器の開発が進んでいます。さらに、殺人ロボットと人間が共に戦うことが軍事の世界ではすでに構想されています。しかし、問題も少なくありません。例えば、ドローンを使った攻撃では捕虜が発生しませんが、結果として、相手の話を聞いたり、妥協、和解をする余地が生まれません。機械化により戦争を合理化して、敵を徹底的に殺せば問題が解決できるという考え方は実はものすごい思考停止ではないかと畠山さんは言います。ドローンオペレーターも苦しんでいます。日常生活と業務の内容があまりにもかけ離れているため、その乖離に耐えられなくなるのです。

 国際的な枠組みで自律型致死兵器を規制、禁止に向けた議論が進められています。国連人権委員会は実態が見えづらいドローン攻撃を問題視し、攻撃側が被害の実態を説明しないまま、安易に「自国を守るため」と称してドローンを使っているとの懸念を示したベン・エマーソン報告書を2014年に出しています。2018年には、グテーレス国連事務総長が殺人ロボットは政治的に許されず、道義的に受け入れがたく、国際法で禁じるべきという立場を示しました。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)に関連する、今使用されているが禁止するべき兵器があるか議論する政府専門家の会合では、自律型殺人兵器を禁止するべきではないかという話がかなり進んでいます。何かしらの「人間の介在」が必要というコンセンサスはできており、法的拘束力のある規制に積極的な国々が大多数ですが、アメリカ、イギリス、インド、ロシアなどは反対しています。そのため、実質的な禁止条約採択には程遠いです。

 市民の間でも、自律型殺人兵器に反対する声が出ています。「ストップ殺人ロボットキャンペーン」があり、完全自律型殺人ロボットの禁止条約を作ることを一義的な目的にして活動しています。研究者たちの中からも反対の声が出ており、4,502名の人工知能やロボット工学研究者たちが自律型兵器を禁止するべきという公開書簡を出しています。Googleも、社員の中から軍事向けのAIの開発に反対する声が出て、殺人に寄与するような技術に使わないというガイドラインを作りました。企業の中で自分たちの技術の使われ方に問題意識を持って、必要であれば反対の声を上げている人たちがいます。

 今後、人間とロボットが共存していく社会になるのは必然です。ロボットは私たちの生活を豊かにする一方で、戦争にも使われます。畠山さんの講義から、どのような未来を選ぶかを1人1人が考え、必要なら声を上げていかなければならないということを学びました。

ドゥブルー達郎