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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2019/05/28

移住連:外国にルーツを持つ若者たちが、ここにいる



動画・写真フェスティバルの写真部門への応募作品。移住者の「ここにいる」を写した優秀作品12点が選ばれ、カレンダーが作成された。

 こんにちは。NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の崔洙連(チェスウヨン)です。先日ご報告させていただいたブレークスルー支援事業である移住者の権利キャンペーン2020「―ここにいる koko ni iru―」(「ここにいるキャンペーン」)の報告第二弾です。気がつけば、第一弾が発表されたのが昨年の11月末。そしてこの報告を書いているいまは、爽やかな風が吹き始めた2019年5月。時間が過ぎる早さにとても驚いています。

 さて、前回は移住連の活動報告のまえに背景説明をということで、日本に多様な移民が暮らすようになった経緯や、そのうえで2019年4月の改定入管法によって創設された新たな在留資格「特定技能」の位置付けなどを簡単にお伝えしました。今回は、そうした状況のなかで活動する移住連とアーユスブレークスルー支援事業に採択された「ここにいるキャンペーン」、そして来月の6月1〜2日に開催される「移住者と連帯する全国フォーラム・東京2019」についてご紹介します。

 日本に移民が来日するようになった1980年代から、移住連の活動は始まりました。そんな私たち移住連は、以下のようなミッションを掲げています。

「移民・外国にルーツを持つ人々の権利と尊厳が保障され、
 誰もが安心して、自分らしく生きられる社会を実現する」

 このミッションのもと、移住連のブレークスルー事業として2017年から実施しているのが、「ここにいるキャンペーン」です。このキャンペーンでは、不可視化されがちな移民が実はすでに「ここにいる」という事実や、さまざまな背景を持つ多様な人々が共に生き、対話することの魅力を発信しつつ、そんな多様な人々が共に生きるうえで必要になる制度や政策について議論する場として、タウンミーティングやセミナー集会などを開催しています。そして、そこで出される意見やニーズ、思いを吸い上げ、それを反映させた政策提言の作成を目指しています。

 キャンペーン1年目は、作家の星野智幸さんととよなか国際交流協会の三木幸美さんをゲストに招いたキックオフ集会を皮切りに、ふだん社会の中で見落とされがちな移民の存在を可視化し、当事者が実際に声をあげる機会を作り出すためのイベントや集会が開催されました。この1年目を通して、移民は「支援される対象」として考えられがちだったのが、この社会の一員として、主体性をもった声をあげる存在として認識されるようになってきました。

 2年目となる2018年は、引き続き1年目と同様にイベントや集会を行いましたが、とくに外国にルーツを持つ若者を対象としたものが多いことが特徴でした。生活の中で困難に直面しやすい外国にルーツを持つ若者が、自分のルーツや多文化共生について理解を深め、自分自身をエンパワーメントするような企画が数多く開催されました。この時期から、移住連に若い世代の、とくに外国にルーツを持った若者などのボランティアが増え始めました。また、政策提言の関連では、キャンペーンを通して集まったさまざま意見や思いを政策提言に落とし込むための中間まとめを行う場として、2018年6月に札幌ワークショップを開催。全国各地から集まった参加者とともに、分科会で個別課題の議論をし、全体で政策提言の内容を討議しました。その成果として政策提言のたたき台が出来上がり、いまは幅広い層に読みやすく、理解してもらいやすいように内容を整理し、みなさんに発表できるよう、鋭意編集作業を進めているところです。

 そしてキャンペーン開始から3年目となる今年は、その政策提言を発表する年です。その発表の場として「移住者と連帯する全国フォーラム・東京2019」(2019年6月1日〜2日)の開催が決定し、ちょうどいま、移住連は共催団体として実行委員会と共に準備を進めています。

 このフォーラムでは800人を超える方々の参加を見込み、1日目にはタレント業を中心に幅広く活動されているサヘル・ローズさんと矢野デイビットさんをゲストに招き、ご自身の経験談も交えながら日本の多文化共生についてお話しいただきます。その後には15の分科会に分かれて、個別課題について議論(今回は「多様なルーツ」や「ビジネスと人権」、「LGBT」といった比較的新しいイシューの分科会もあります!)。

 2日目には、多くの方が注目していた改定入管法(2019年4月施行)と「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」についての解説をした後、そんないまの社会にはどんな政策が求められているのか、移住連がキャンペーンを通して作成した政策提言をついに発表します。その内容をふまえて、「移動・定住・永住する当事者」の目線から移民社会・日本にあるべき移民政策についてのパネルディスカッションを開催します。(聞いただけでも興味がそそられませんか?)

 このフォーラムには、みなさんにお伝えしたい魅力があります。それは、外国にルーツを持つ若者を中心に、若い世代が多く参加しているということです。キャンペーン2年目を通して集まった数名の学生を中心にボランティアチームが組まれました。彼/彼女たちを中心に、もっと同年代の若い人たちにもにこうした場に参加してもらいたい、そのためにはどうしたら良いのかという問題意識があったようです。それは、実行委員会でも議論されていたことでした。

 学生チームは、どういった人たちが活動に参加していて、どんな風にフォーラムを準備しているのかが分かり辛いために、参加するハードルが高くなってしまっていると考え、参加の垣根を低くするために、準備に関わっている人たちを知ってもらうようなフォーラム広報を提案してくれました。少しずつではありますが、関係者インタビューの記事を発表しています。ぜひこちらもご覧になってみて下さい!

 これまでは日本人を中心とした支援者による活動が主だった移民支援の現場に、ある意味で当事者である外国にルーツを持つ若者たちの参加が増えたことは、いまの移住連の特徴であると言えます。私も含め、日本社会に溶け込みつつ、同時に別の視点からも社会をみつめる外国にルーツを持った若者がこうした活動に参加することは、従来の活動のあり方が多様化するきっかけとなっています。そして、こうした層が今後の社会を支える層として存在している事実が社会一般に知られていくことで、日本社会が、多様な人々を包摂する多民族・多文化共生社会へと内側から変容していくきっかけにもなっていくのでは?と考えています。

 6月1〜2日に開催されるフォーラムでは、そうした多様な人々で築かれた空間の雰囲気や活気ある様子を、身をもって感じていただけると思います。ぜひ、参加してみて下さい。

参加ご希望の方は事前申し込みが必須ですので、以下からどうぞ。
申し込みフォーム各分科会概要フォーラムHP