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国際協力の現場から

国際協力の現場から2017/04/21

FoE:3.11を忘れない~福島第一原発事故から6年


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帰還政策、住宅支援打ち切りの現状をFoE Japan満田から報告

 3月11日、東京電力福島第一原発事故から丸6年を迎えました。3月末には、帰宅困難区域を除き、飯舘村や浪江町、富岡町などの避難指示が解除されました。 また、災害救助法に基づいて各都道府県が自主避難者に提供していた住宅支援も3月末で打ち切られました。
 FoE Japanでは3月10日、福島原発事故から6年の節目にシンポジウムを開催し、福島にくらす方々の声や、「復興」の名のもとに進められる帰還政策の課題を共有しました。

 福島原発告訴団の武藤類子さんからは、困難を極める福島第一原発の廃炉作業や除染の実態について、また福島県内の複雑な状況を共有いただきました。自治体などの帰還圧力の中、県や市町村の職員の自死が2016年4月からの1年で9人となったという悲痛な状況が伝えられました。

 被ばく労働を考えるネットワークのなすびさんからは、過酷な廃炉作業労働者の実態が伝えられました。重層下請けによりわずかな危険手当で、健康管理手帳の対象外で、がんなどにかかった際にも健康診断の無料受診さえ対象外です。

当日は200名以上が参加し、耳を傾けました。

当日は200名以上が参加し、耳を傾けました。

 事故直後関西に母子避難し、2016年春に福島に戻ったお母さんは、差別やいじめも受けた避難先での生活は限界を超えていたといいます。
 福島市に住み、2016年から家族が避難生活をはじめたお父さんは、自ら向き合って選択することの重要性、そして家族と離れてくらす寂しさを語りました。
 小学生のときから保養に参加し、今ではスタッフとしても保養プロジェクトに参加している高校生は、ドイツでの経験交流で原発事故の怖さや被ばく労働する作業員の現状を目の当たりにし、日本でも現状を正確に学ぶべきだと訴えました。

 FoE Japanが主催している福島ぽかぽかプロジェクトは、福島に住む親子が週末に滞在し、自然の中で思い切り遊び、普段話せない思いを語り合う貴重な場となっています。
「お母さんたちが安心して思いを吐き出せる場でありたい」ぽかぽかプロジェクト担当の矢野は語ります。

 後半には、立命館大学(当時)の大島堅一さんから、増大し続ける原発事故のコストと、東京電力が責任を負わないまま国民負担とされようとしている現状を共有しました。原子力発電については、国による保護策が次々とつくられています。
 FoE Japan吉田からは、電力システム改革と電力小売全面自由化の中、誰でもができる意思表示としてパワーシフト・キャンペーンを紹介しました。

 4月、住宅支援の打ち切りで帰還や引っ越し、やむを得ず経済的負担を負わざるを得なくなった方々がいます。自主避難を自己責任と切り捨てる復興大臣の発言が問題となりましたが、現状は「自己責任」の避難ではありません。
 生の声を聞くこと。福島原発事故を忘れないために、そして行動するために、貴重な機会となりました。 (吉田 明子)

▼シンポジウム「3・11を忘れない〜福島から未来へ(3/10)」
▼声明:福島原発事故から6年~国策が被害者を追いつめる