国際協力の現場から
国際協力の現場から2016/09/07ツイート
FoE:気候変動とたたかうアジアの人々
8月1日、アジア各国のFoE(Friends of the Earth)メンバーが東京に集い、各国で起きている深刻な気候変動影響や、大規模開発の影響をうったえました。その生の声の一部を共有します。
●ネパール(プラカシュ・ブサルさん) ネパールは、温室効果ガス排出は全世界の排出量合計の0.027%だが、深刻な影響を受けている。特に、ヒマラヤの氷河融解による氷河湖決壊洪水のリスクが大きい。すでに12回報告されており、人命も失われ、甚大な被害を受けている。また、ネパールだけでなく下流域の国々にも洪水影響は広がる。
●スリランカ(ヘマンサ・ウィサネージさん) 2016年5月、インドのラジャスターン州では、気温51℃が記録された。スリランカの首都コロンボでは、ケラニ川流域で洪水が発生し、30万人以上が家屋を奪われ、上流の地滑りでは150人以上が死亡した。世界各地のこのような災害は、気候変動を原因とする難民を日々増加させている。人口密集地域であるアジアは、今後の鍵を握っている。
●インドネシア(カリサ・カリッドさん) インドネシア政府は、温室効果ガスを大量に排出するにもかかわらず、石炭を安い燃料として依存し続けており、35,000MWもの発電容量増大計画のうち65%が石炭である。石炭火力発電所の付近では、漁獲量の減少や生態系への影響もみられる。また、バタン、チレボン、インドラマユなどの石炭火力には日本の金融機関も融資しようとしている。現地では人権侵害も起きている。日本のみなさんとこれを止めたい。
●パレスチナ(マルワン・ガーネムさん) ヨルダン川西岸のすべての水資源と、ガザ地区の重要な水資源は、イスラエルによって支配されており、イスラエルとパレスチナとの間で水資源の配分に大きな差異・不公平がある。パレスチナ人は、イスラエル国営水道会社(メコロット)から高い値段で水を買わねばならない。ガザ地区では特に、安全な上水へのアクセスが脅かされている。
●ピーター・ボシップさん(パプア・ニューギニア) 550万ヘクタールもの原生林がアブラヤシ農園に転換されたり、皆伐されたりしている。農民の土地収奪と森林破壊が深刻である。住民の慣習的土地所有の権利を守ることが急務である。原生林の破壊は、 水質汚染と環境破壊、さらに気候変動による太平洋の海面上昇にもつながっている。
気候変動問題は、気温上昇や異常気象にとどまらず、それによって人々の生活に大きな打撃を与えます。一度破壊された生活は、元に戻すことができません。
そして、その影響をもっとも強く受けるのは、気候変動への責任が小さい途上国の人々です。
気候変動は、世界の不正義、不公正の問題なのです。
影響をとめるためには、気温上昇は今世紀末までに1.5度未満に抑えなければなりません。
そのために、日本の政策は・・・現在まったく逆をいこうとしているのです。
大きく方向を変えることができるか。。
様々な人たちが、様々な角度から、取り組むことが不可欠です。(吉田明子)