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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2016/07/01

FRJ:世界難民の日にあわせ交流イベントを開催しました


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世界難民の日を迎えて: なんみんフォーラムオープンデー2016を開催

 6月20日は国連が定めた「世界難民の日」です。この日が近づくと、毎年全国各地で難民に関する企画がなされます。なんみんフォーラム(FRJ)では、6月22日に都内で、難民や支援者、難民に関心のある様々な方たちの交流の場として、入退場自由の「なんみんフォーラムオープンデー2016」を開催しました。難民の受け入れをめぐる国内外の現状を概観しながら、イベントの様子をご報告したいと思います。

◆難民をめぐる世界の状況  世界では、シリア、アフガニスタン、ソマリアをはじめとする国々から、2015年末時点でおよそ6,530万人の人々が、紛争や迫害を逃れて避難を余儀なくされています。その半数以上が国内で避難生活を送ります。2015年、100万人を越える難民らが欧州に渡り大きな注目を浴びましたが、国外に逃れられる人は全体数からすると限られています。さらに、その大半が発展途上国を中心とする周辺国に逃れています。最大の難民受け入れ国は250万人の難民を受け入れているトルコです。レバノンでは、総人口に対する難民の割合が最も高く、人口の1000人中183人が難民と計算できます。2015年末、先進国に逃れ難民申請をすることが出来た人は、その総数でも320万人に留まります。避難を余儀なくされる人の数がここ数年増加し続けている要因には、世界各地の紛争の長期化や、シリアや南スーダンなど新たな人道危機が頻発していることが指摘されています。難民流出を防ぐ取り組みもさることながら、同時に、今現在避難を余儀なくされている人々をめぐる問題について、どこまで国際社会が恊働して解決にあたることが出来るのかも、今まさに問われています。しかし昨今、国境封鎖など、受け入れに慎重な国は少なくありません。
*各統計は国連難民高等弁務官(UNHCR)発行「グローバル・トレンズ2015」より

手続きの結果を待ちながら、FRJのシェルターで暮らす難民申請者。2015年に日本で難民申請をした人は7,586人。難民認定または人道配慮による在留許可を受けるまで、平均して3〜5年かかる。

手続きの結果を待ちながら、FRJのシェルターで暮らす難民申請者。2015年に日本で難民申請をした人は7,586人。難民認定または人道配慮による在留許可を受けるまで、平均して3〜5年かかる。

◆難民は日本にも来ています
 2015年に日本は27人の難民を保護しました。また、人道配慮によって在留許可を認められた人は79人、そして第三国定住難民受入れ事業で受入れた人は6家族19名、合計125人です。最近になって関心が高まってきた難民問題ですが、実は、約半世紀を振り返ると、日本は1970年代後半から1万人以上のインドシナ難民を受け入れた経験もあります。FRJは、インドシナ難民の受け入れ終了が近づき、自力で日本に逃れる難民が増えてきた2004年に設立されました。日本に逃れた難民を支援する団体のネットワークとして、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所とも協力しながら活動しています。

◆世界難民の日に何を振り返るのか
 6,530万人という数は、世界人口の113人に1人が紛争や迫害から避難を余儀なくされているということを指します。シリアをはじめ、多くの暴力や人々の当たり前の暮らしが破壊されていく様子を、たとえ傍からであっても、インターネット上で私たちは簡単に目にすることが出来るようになりました。6月20日は世界難民の日。遠いどこかの地で、誰かの命が脅かされていることに、心を痛めるとき、私たちの住んでいる日本でも、そうした恐怖を逃れてきた人がゼロから再起しようとしていることへも、日本社会がもっと関心を持ってくれることを私たちFRJは願っています。

◆ なんみんフォーラムオープンデー2016を開催して
 そうした願いから、今年の世界難民の日では、FRJは入退場自由の「なんみんフォーラムオープンデー」を開催しました。当初の予想を越えるおよそ100名の来場者に、参加した難民の方も私たちも、関心の高さに驚きと喜びを隠せないほどの賑わいでした。FRJに加盟する支援団体は、ブースを出展。法的支援や生活支援、エンパワメントやアドボカシーなど、支援活動は多岐に渡ることが、ブースを回ると見えてきます。各ブースでは活動紹介と同時に、継続して関心を持ってもらいたいと、難民に関連する物品の販売なども行いました。来場者と近い距離で、現場の声や取り組みを1つ1つお話しすることができ、繫がりを深めることができました。また、来場者全体でも非常に活発な交流がなされ、閉会ぎりぎりまで歓談する方もみられました。
 今回のような形式のイベントは実は初めての開催でしたが、NGOや支援団体、大学、企業、地域など様々な形で難民支援に携わる人や、難民当事者、そして難民に関心を持つ人たちが一同に会し、支援の輪を深める貴重な機会をもつことができました。難民問題の解決に国際社会の連帯が問われている今、日本では私たち一人ひとりがどこまで輪を広げ、議論していけるでしょうか。FRJは今後も支援の輪の拡充という重要な役割を強化すべく、活動していきます。(なんみんフォーラム事務局 檜山)

173x115会場奥のスクリーンでは、日本の難民受け入れの変遷をたどる写真スライドを上映。日本の難民認定制度ができた1982年当時の資料なども展示しました。 173x115会場では、難民の方手作りのミャンマー料理や、中東の料理や飲み物が振る舞われました。ミャンマー料理は、高田馬場のミャンマー難民家族が営むレストラン「スィウ・ミャンマー」から。