国際協力の現場から
国際協力の現場から2016/06/21ツイート
FoE:電力自由化・・・安さばかりが求められるか
電力自由化: 安さばかり求められると・・?
いよいよ4月から、電力小売全面自由化がスタートし、私たち自身(一般家庭)も電力会社を選べるようになりました。報道も減ってきて、まだ迷っているかたも多いかもしれません。私たちは、再生可能エネルギーを重視する電力会社を選ぼう!と呼びかけていますが、そうでない選択をしたらどうなるかについて、考えてみたいと思います。
多くの既存地域電力会社(東京電力など)はすでに昨年度から、よりおトクになる新しいプランを宣伝していますし、ガス会社やインターネット会社、携帯電話会社などなど、様々な業種が電力事業に参入しています。しかしやはり、「安さ」のアピールが中心です。
厳しい競争のなかで、各社、少しでも「安い」「便利」を訴求して何とか勝ち残ろうとしています。そのためには、電源調達も少しでも安く・・
そこで現在問題になっているのが石炭火力発電所の新規計画です。現在48基もの計画があり、設備容量の合計は約2280万kW、原発20基分以上にのぼります。ほとんどが計画段階で、発電開始見込みは2020年以降のものがほとんどです。これらは、電力システム改革が決まった2013年から、安さの競争を見据えて計画されているものです。安い石炭の輸入により「安い安定電源」とされているためです。
石炭火力発電は、天然ガス火力に比べてCO2排出係数は2倍以上であり火力発電の中でも特に高くなっています。2015年12月の「パリ合意」も受けて気候変動影響をとめていこうという世界の流れの中で、欧州を中心に次々と「脱石炭」の流れが起こっています。加えて、高性能のフィルターを使ったとしても、大気汚染物質の放出はゼロではなく、健康被害も懸念されます。
さらに、CO2排出削減の名目で、新設計画の見直しではなく「非化石電源の活用」が掲げられており(エネルギー供給構造高度化法)、その「非化石電源」とは再生可能エネルギーと原発のことです。
つまり、電力自由化で安さが求められる ⇒ 電力会社は安い電源調達へ ⇒ 安いとされる石炭火力発電の推進 ⇒ 結局は原発も推進へ ・・
この流れが、明らかに見えてきています。
だからこそ、安さだけでない選択が必要です。どんな電気を使っているか、どういう方向を目指しているのか。そのビジョンを確かめて、電力会社を選びませんか?