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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2009/08/25

シェア:現地化への挑戦


シェア活動報告2

共通の課題を一緒に解決していくパートナーシップを目指してー現地化への挑戦

現地化の第一歩までの長い道のり

 計画は計画。あくまでも紙上のものです。話し合いが始まり、少しずつ具体的な取り組みが行われるようになったものの一進一退する年月が続きました。その間、国連開発計画(UNDP)からの委託の大きなプロジェクトに携わる機会を得たために、現地化の取り組みは一旦休止せざるを得ませんでした。それでもシェアは諦めることなく、2007年後半から本格的に現地化に取りかかり始めました。実際に、現地化の話しが浮上してから既に10年が経っていることもあり、もう一度スタッフ全員と意思確認をすることから始めなければいけませんでした。

 この間、タイ国内で現地化の経験がある国際NGOからのヒアリングをしたり、限りある情報をみんなで集めたりしていましたが、やはり現地化をしていくにあたってのプロセスを進めるための人材が必要であるとのタイ側の強い要望に基づき、短期専門家を派遣しました

現地化のプロセス

 取り組むこととして、次の五つの目標を立てました。1)規範の確率、2)政府へ登録、3)理事会設立、4)人材育成、そして、5)資金獲得。ほぼ新しい団体を設立する手続と変わりません。

 まず行ったことは、非営利団体として肝要な理念や使命の見直しでした。そして政府への登録の手続についての情報収集と同時に、本年3月には、理事候補のみなさんに集まってもらい理事会設立準備会を開催しました。さすが20年近く地道に活動を続けてきたこともあり、タイ各地から保健行政、学術、NGOなど様々な分野の関係者が集まり、真剣にシェアタイの現地化に向けての話し合いに参加してくれ、いかにシェアタイが多くの人々に支えられてここまで来ることができたのかを実感することができました。スタッフたちも「これからの現地化実現に向けて勇気づけられた」と感想を述べていました。東京から出張した私にとっては、これからの課題が明確になり、東京本部としてのこれからの関わりについて考えるいい機会となりました。

私たちが目指すこと

 現地化するということは、タイにおいては財団法人になるための手続が必要ですが、単に紙上の手続を済ませることを目的としていません。また単に、シェアのタイ事務所が独立して、現地スタッフだけで団体運営ができることを目指すだけでもありません。

 シェアでは、これまで現地と東京本部で協力しながら、タイおよび日本におけるHIV陽性者の支援を行ってきました。特に日本においては、タイ人HIV陽性者の中には母国を長年離れている人も多く、いざ帰国を決断しても母国タイでのエイズを取り巻く状況の変化や治療の状況について不安を感じています。シェアではタイのスタッフの協力により、帰省先の医療機関やHIV陽性者自助グループの連絡先にまで及ぶ具体的な情報をタイ語で提供することができています。

 私たちが目指す現地化とは、共通の課題を一緒に解決していくパートナーシップを醸成することです。まだまだスタートラインに立ったばかりですが、アーユスの支援に感謝し、これからも着実に前進していきたいと思います。(青木美由紀)