国際協力の現場から
国際協力の現場から2016/02/12ツイート
ACCESS:安保法制をめぐり、議論を重ねました。
安保法制をめぐり、議論を重ねました。
日本の安全保障関連法について激しい議論が行われた2015年。私たちアクセスは「NGO非戦ネット」に賛同することを決めました。「NGO非戦ネット」とは、国際協力・交流活動に取り組むNGOや市民の立場から、安全保障関連法に反対しようとする人々のネットワークです。「武力で平和は作れない」という信念のもと、NGOだからこそ発信できる声を届けようとしています。
NGO非戦ネットへの賛同を公表した直後、アクセスの会員から「このような政治的なアクションは強い違和感がある。退会したい。」という連絡がありました。賛否あるだろうと予測はしていました。それでも、実際に協力者が離れていくという事態は、心にズシンと来るものがありました。
その際、その方とは何度か真剣なメールのやりとりをさせていただきました。なぜNGO非戦ネットに賛同することにしたのか、率直な思いを伝えました。その方からは「アクセスが政治的な意見を発信することは、まだあまり知識がない若いメンバーの思考停止につながるのでは」というご指摘もいただきました。
この意見を受け、事務局や理事会でも話し合いを行いました。その結果、以下のような意見でまとまりました。
- 海外で活動するNGOとして、日本の自衛隊が他国で人を殺すかもしれない法案を黙認できない。
- しかし、会員・サポーター・スタッフの中には、様々な意見の方がいる。より多くの方の意見に耳を傾け、話し合い、学び合う場を持つことが大切。
- 政治に特に関心がない方にも、学んだり考えたりする場をつくっていくことも必要。
アクセスは、フィリピンでも日本でも「社会を変える力をつけるNGO」でありたいと考えてきました。だからこそ、日本の未来が大きく変わろうとしているような状況において、私たち一人ひとりが意見を持てるように、学び考える場をつくる存在になる必要があると考えたのです。「教える側」「学ぶ側」を決めずに、色んな人の意見から互いに学び合う場をつくろう。そうすることが私たちアクセスの理念に叶う行動だろう、と考えました。
以降、私たちは関係者の方々向けに「安全保障関連法をどう考えますか?」と題した文書を2回発行しています。サポーターの方々の意見、日本・フィリピン双方の理事の意見、他のNGOの意見などを編集したものです。新たに2名の退会者が出ましたが、共感の声も届きました。「安保の文面は非常に参考になりました。勉強会・対話が必要ですよね。私が所属する組織は何も立ち位置を示してないですが、対話の場所を設ける必要はあると思っていました。色々考えていた時に安保に関する書面が届いて、勉強になりました。」と、20代の社会人はメールをくれました。
2016年度中には、安全保障関連法についてのミニ学習会と、多様な意見を知るための「しゃべり場」を開催したいと思っています。まだ政治に関心が薄い若い人には、自分の意見を持つきっかけにしてほしい。自分の意見が既にある人には、異なる意見から何か感じてもらい、より考えを深めるきっかけにしてほしい。そんな想いで、取り組みを進めています。(野田沙良)