国際協力の現場から
国際協力の現場から2014/04/28ツイート
AAN:国境の垣根を越えて – バングラデシュでの体操指導
国境の垣根を越えて – バングラデシュでの体操指導
途上国にも広がる生活習慣病。
これを克服するために、日本の知見・経験は広く活かされ、これまで国際協力にあまり縁のなかった分野で働く人たちが国境を越えるようになると言われています。
AANは、2013年よりバングラデシュで砒素汚染対策と抱き合わせる形で、生活習慣病、現地では非感染性疾患と呼ばれる病気の対策を行っています。開始から1年、糖尿病や砒素中毒症など非感染性疾患のリスクと予防方法について、約2万人に発信してきました。
「もっと実践的に健康について学びたい、特に運動について学びたい」という現場からの要請に応えて、日本での体操指導の経験を持つ坂口善恵さんにアドバイザーとしてバングラデシュに来てもらいました。
バングラデシュの女性たちは、社会的制約から思春期以降は家の中で静かに過ごすことが美徳とされます。運動不足に陥りがちで、非感染性疾患を患う人が実際多いのですが、女性の家庭内の地位は低く、出産を終えた女性の健康はとかく軽視されがちでした。
坂口さんの到着を待って、現地の風土に根差した運動プログラムを作るためのワークショップを村でしました。運動に参加したがらない層を巻き込むために、「昔遊び」の発掘をしたところ、女性も縄跳びや馬跳びが得意なことが判明!サリーやブルカの女性までも披露してくれて、つかみは完ぺきでした。スポンジに水が染み入るような吸収力でした(坂口さん談)。
しかし、村での体操指導を行うに際して、難しさにも直面。
身動きがとれないほど人が集まってしまい、極狭スペース対応のプログラムを現場で急遽考えたり、お手本になってもらいたいプロジェクトの若手スタッフが簡単なストレッチもできなかったり…、色々混乱がありました。
それもそのはず、バングラデシュでの体育教育はこれから始まろうとしているのですから。基礎がないだけに、長い時間を要する課題であることを実感しました。
坂口さんのように、日本人の健康づくりの経験を持ち、更に、現地の人の立場や困難を理解する姿勢を持つ方と、国境を越える機会をまた作りたいと思いました。