国際協力の現場から
国際協力の現場から2019/02/25ツイート
nangoc:ともに語り合う『人権・開発・平和』」
「ともに語り合う『人権・開発・平和』」で非戦と平和について考える
2019年1月25日、日本平和学会中部・北陸地区研究会と名古屋NGOセンターとの主催で、非戦と平和について考えるイベント「ともに語り合う『人権・開発・平和』」を開催しました。この地域のNGO活動や市民運動の経験者やNGOに関心のある学生など約40名の参加がありました。
前半では、立教大学大学院教員の宇井志緒利さんとインドネシア民主化支援ネットワーク代表の佐伯奈津子さん、名古屋難民支援室コーディネーターの羽田野真帆さんを講師に迎え、それぞれ自身の活動を始めるきっかけや活動の現状、NGOの課題について話していただきました。
宇井さんは学生時代に、アジアの草の根の保健ワーカーの育成に取り組むNGOであるアジア保健研修所でボランティアをしたのをきっかけに同研修所の職員になり、アジアの人々の健康を作り出す仕事を通して人々の健康と平和の問題が密接につながっていることを肌で感じ、平和の実現には他者のニーズを犠牲にしない社会の公正の実現が同時に必要であるというJust Peace(ジャストピース)の考え方を大事にしたいと語りました。
佐伯さんは学生時代に留学先でインドネシアの問題を知ったのがきっかけで、同国における言論弾圧や人権侵害、日本によるODAの被害について広く訴える活動を始めたとのことです。羽田野さんはアメリカに住んでいた小学生の頃にパレスティナの友人を通して難民の存在を知り、大学時代には難民支援のボランティアサークルを作るなど関わりを深め、名古屋難民支援室の設立時に自ら応募してコーディネーターになったと話しました。
イベントの後半は3名の講師の方たちによるパネルディスカッションを行い、会場にいる参加者の皆さんにも発言をしていただきました。
参加者から、1980年代のNGOは国や企業を激しく批判していたが、その後、国や行政との協働が言われるようになって厳しい動き方をしなくなったという発言がありました。パネリストから、海外の難民支援には世間の関心が集まるが、日本国内にいる難民には目が向いていないとの指摘があり、日本社会の中には分断や亀裂があること、これをつなぐ役割がNGOにはあるのではないか等の意見が出され、議論が盛り上がりました。
人権や平和という難しいテーマ設定でしたが、この分野でNGOが果たす役割に対して市民の関心と期待が大きいことをあらためて認識する場となりました。
このイベントの広報にはアーユスの皆様の多大なご協力をいただきました。おかげで予想を越える多くの参加者があり、NGOの今後に関わる課題にも目を向けることができ、成功裏に終わったことに感謝を申し上げます。(政策提言委員 西井和裕)