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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2021/04/23

2020年3-4月活動報告(ピースデポ)


 ピースデポは「ピース・アルマナック2021」を5月30日付で発行すべく、4月28日、下版しました。去年創刊した年鑑で、カバーする範囲は2020年1月1日から12月31日で、扱う領域は核兵器、核兵器禁止条約、朝鮮半島問題、中東情勢、通常兵器と多岐に渡ります。時節柄、沖縄県の米軍基地内でのコロナ感染者の推移も掲載しています。この記事ではピース・アルマナック2021発行にあたり、編集作業に加わってきた私の感想を書きます。

 私は長く大学にいて、30歳まで学生だったので、社会人経験がほぼなく、仕事として本を発行する共同作業は初めてでした。出された指示の中で疑問に思ったことを聞かず、やることを誤解して、無駄な作業をしたり、担当する章を忘れていたり、文章の形式を覚えていなかったりと、失敗もありました。仕事は1人ではなく、複数人でするものであり、自分のミスは同僚の負担増になります。学生のときには希薄だった責任感が生まれました。また、失敗したときにそれをカバーしてくれる同僚の存在は、1人では困難なことも、複数人なら乗り越えられること、自分も同僚を助けなければならないことなどを自分に教えてくれました。
 アルマナックは軍事情報など、細かいデータとたくさんの公的な文書を掲載しますが、そこで誤字脱字がないか、文字の種類や大きさが整っているかどうかをチェックします。これは目と神経を使う、大変な作業でした。しかし、印刷して見てみると、見栄えが良かったので、こうした地味な作業も大切だと思いました。誤字脱字があったり、文字の種類、大きさ、デザインがページごとに不統一だと見栄えも悪くなり、いくら内容が良くても、本の信頼は下がってしまいます。学生だった頃は読む相手は限られており、中身が良ければそれで良いという考えでしたが、年鑑は社会に流通するものであり、読者への想像力がより必要です。デザインを含めて印刷したものがきれいに見えるかどうか、言い換えれば、読まれるためにはどう工夫したら良いかに思いが至るようになりました。
 作業でコンピュータースキルも磨かれました。InDesignという、編集に使うソフトウェアを使いますが、画面上にたくさんの項目が並び、どう操作したら良いか一見して分かりません。便利ですが、使いこなすまでに時間がかかります。グラフや表を作る作業など手間取りました。それでも、やり始めると少しづつでも慣れるし、試行錯誤をしている中で答えが見つかったときは嬉しかったです。一見、困難の原因が何か分からなくても、冷静に調べればそれが分かり、解決できます。
 ピースデポは小所帯なので、編集作業で私の仕事の分量は多かったです。予定に比べ作業が遅れがちになり、挽回するために休日に働くこともありました。その分、責任も大きく、肉体的、精神的にキツい面も多々ありました。それでも、ピース・アルマナック2021の編集・発行作業に関わったことで、効率的な仕事の仕方や、日頃からの同僚とのコミュニケーションの大切さを学び、社会人としていくらかでも成長したようにと思います。ピース・アルマナック2021は、核廃絶、核軍縮、日本の核政策、脱軍備のための北東アジアの地域的平和システム、通常兵器など、平和について具体的に考えるために役に立つ一次情報と専門家の解説を掲載しています。1人でも多くの方に読んでもらえたら編集作業に携わった者として非常に嬉しいです。

                             ドゥブルー達郎(ピースデポ研究員)

編集作業が終わり、これから原稿の校正が行われる