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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2020/09/04

2020年7~8月活動報告(ピースデポ)


 

 7月、8月には会員向け情報誌『脱軍備・平和レポート』第4号を発行したほか、朝鮮半島の非核化合意履行監視プロジェクトで2本の記事を発行しました。また7月には横浜市の助成金制度「よこはま夢ファンド」への申請を行い、ホームページの改編準備、事務所の各種契約の整理などと合わせ、今後の活動に向けた取り組みを進めました。

 

『脱軍備・平和レポート』第4号の発行

 『脱軍備・平和レポート』第4号を8月1日に発行した。第4号の特集は「拡大する軍事支出」。世界では軍事支出が増加している。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の今年4月の発表によると、2019年の世界全体の軍事支出は冷戦終結後最高の1 兆9170 億ドルに上った。軍事支出の上昇を主に牽引したのは、米国をはじめとする大国による軍拡競争や兵器の近代化だ。軍事支出額の上位5か国に入った米国、中国、インド、ロシア、サウジアラビアで、世界全体の軍事支出の62%を占めた。

 軍事費の増加に対し、市民社会からは批判が高まっている。国際平和ビューロー(IPB)をはじめ世界の100以上の団体が参加する「軍事支出に関するグローバル・キャンペーン」は5 月、新型コロナウイルス感染症の拡大をうけ、軍事支出と保健医療支出を比較し、保健医療体制を強化するために軍事費を削減する必要性を訴えた。新型コロナウイルスのパンデミックの危機は、保健医療体制の整備といった「人間の安全保障」の重要性を改めて示している。一方、世界の軍事支出額は、保健医療への支出と比べ桁違いに大きい。本特集では図表を用い、軍事費と保健医療費の比較を行った。

 続いて、軍事支出に対する市民社会の注目が、年間1000 億ドル以上が投資されているという核兵器産業にも向かっていることを説明した。近年、欧米を中心に、金融機関に対して核兵器関連企業への投融資からの撤退を求める市民社会のキャンペーンが広がっている。核兵器関連企業への投融資からの撤退を決める金融機関が増加するなか、日本の銀行にも同様の動きが広がりつつある。市民社会が莫大な軍事支出や非人道兵器への投融資に厳しい目を向け続けることが変化の鍵となり得る。

 第4号では特集のほか、イージス・アショア配備停止に至る問題、ロシアによる核抑止ドクトリン、NPT発効50周年に合わせたNPT加盟17カ国の声明に関する記事を掲載した。また、会員からの核抑止論に関する寄稿を掲載した。

8月1日、「脱軍備・平和レポート」第4号を発行。軍事支出について特集した。

 

朝鮮半島の非核化合意履行監視プロジェクト

 監視報告23号「朝鮮戦争が終結すれば、現在の朝鮮国連軍は解散するのが道理である」(6月30日)と24号「ボルトンのトランプ評にかかわらず、シンガポール合意は朝鮮半島の非核化と平和への基礎となる文書だ」(8月13日)を発行した。

 23号では、朝鮮国連軍の誕生の経緯を改めて振り返りながら、朝鮮戦争終結後の朝鮮国連軍が取るべき道について考察した。朝鮮国連軍は本来の国連軍とは異なる存在であり、その成立の根拠は非常にあいまいである。朝鮮戦争が終結に至れば、その時点で朝鮮国連軍の役割はいったん終了する。当事国である南北が終戦後も国連の関与する平和維持部隊を必要とする場合、それは現在の朝鮮国連軍とは全く異なる使命や仕組みを持つものになるはずである。

 24号は、世界的な注目を浴びたジョン・ボルトン前大統領補佐官の回顧録『それが起きた部屋』(The room where it happened)の中で、ボルトンが2018年の米朝首脳会談における合意を批判していることを紹介した。そのうえで、ボルトンが批判するトランプ大統領の資質如何に関わらず、2018年米朝合意は画期的な重要性を持つものであり、その履行が朝鮮半島の平和と非核化の実現に役立つということを指摘した。

 それぞれの監視報告は、以下のブログで読むことができる。

 https://nonukes-northeast-asia-peacedepot.blogspot.com/ 

 

よこはま夢ファンド登録団体助成金への申請

 7月、横浜市のふるさと納税を利用した「よこはま夢ファンド登録団体助成金」への申請を行った。申請にあたり、2020年9月~2021年3月の助成期間の事業計画を作成し、予算案や昨年度の事業報告などと共に提出した。よこはま夢ファンドの制度を利用したピースデポへの寄付の呼びかけに力を入れ、申請までに過去最高の約260万円を集めることができた。

 

その他

  • 4月に開始した交代制の在宅勤務体制を継続している。
  • 7月初めに年鑑書籍『ピース・アルマナック2020』と会報を会員向けに発送した。会報の制作は新任の渡辺研究員を主体として進めた。『ピース・アルマナック』と会報の発送に合わせ、会費や購読料の請求も実施し、多くの反応があった。
  • 7月17日、来年度の『ピース・アルマナック2021』出版に向けた最初の刊行委員会を開催し、委員であるピースデポ内外の識者と話し合った。
  • ホームページの改編に向け、業者との間で協議を行い、改編作業を発注した。
  • 職員が長らく把握できていなかった事務所の各種契約(通信回線、ソフトウェア等)の整理を進めた。そのうえで、通信回線に新たなセキュリティ・システムを導入することになった。
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                                                                                                               8月31日 森山拓也