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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2017/02/28

FRJ:難民支援者全国会議を開催しました


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 なんみんフォーラムでは、2015年度より、難民支援に関する全国会議の運営に取り組んでいます。本会議は、独立行政法人福祉医療機構(WAM)による助成事業の一貫として、認定NPO法人難民支援協会(JAR)が主催しています。2年目の開催となる2016年度も、より良い難民支援と支援者間の関係強化を目指して、九州、関西、東海、関東の4地域から、難民支援に取り組む市民団体や実務家、企業関係者が集いました。本年度実施した2回の会議の成果を報告します。

背景と目的
 全国には、なんみんフォーラムに加盟している16団体にとどまらず、難民支援に取り組む様々な団体・個人があり、それぞれが有する資源やノウハウ、専門性を活かして、活動を行っています。しかし、各取り組みの成果や課題、難民支援の置かれている現状を全国的に共有できる機会は限られており、地域や活動分野を超えた支援者の交流は限定的になりがちです。しかし、日本で暮らす難民・難民申請者数が増加の一途をたどり、国際的にも難民受け入れへの各国の貢献が求められる今日、支援関係者が連携し、助けを必要とする人への包括的な支援を強化していくことは、ますます重要となっています。

 そこで、難民支援のネットワーク組織であるなんみんフォーラムは、既存のネットワークの強化と深化、そしてより広範な連携を図るべく、昨年度より年2回の全国会議を実施しています。本会議は、情報や課題を共有するのみならず、より良い難民支援・保護のために何が出来るのか、相互に学び合い、共に解決策を考える場とすることを目指しています。また、各地域の支援者が交流し、意見交換する中で得られた提言を、なんみんフォーラムのネットワークとしての活動にも還元していくことが出来ると考えています。
 日本の各地域で活動している難民支援関係者が一堂に会するまたとない機会に、今年度は延べ70名を超える参加がありました。

第1回難民支援者全国会議:2016年10月28日

第1回全国会議の様子

第1回全国会議の様子

 第1部のメインテーマは、11月のコラムでも取り上げた「難民の収容」についてです。難民申請者が長期に収容される施設は、現在、全国2箇所あります。そのうち1つである大村入国管理センター(長崎県)に収容されている難民申請者の支援について、柚之原寛史牧師を講師に、報告と質疑が行われました。また、日本国内の現状と国際的な潮流を押さえた上で、難民の収容をめぐる問題に関して、日本でどのような取り組みが求められているのか、活発な議論がなされました。同時期に来日していた海外からの政府関係者や支援関係者も一部参加し、国際的な知見も多くインプットされました。また、収容代替措置の対象となったケースや脆弱性の高いケースなどについて個別支援の在り方を考える分科会(グループワーク)では、具体的な課題への意見を共有することができました。
 第2部では、災害時の外国人支援をテーマに公開講演会を開催しました。災害時には、難民・難民申請者を含めた外国人支援にも、緊急性が必要とされます。先の熊本地震に際して、実際に外国人被災者救援活動にあたられた中島眞一郎氏(コムスタカ- 外国人と共に生きる会代表)による講演から、極めて現実的な問題として学ぶことが出来ました。
 本会議の参加者からは、普段共有する機会の限られている九州からの報告や、海外の事例からも学ぶことができたことは、非常に有意義であり、今後も継続してほしいとの声が多く聞かれました。

第2回難民支援者全国会議:2017年2月18日
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第2回全国会議の様子

第2回全国会議の様子

 第1回目の会議後に寄せられた参加者からの声に基づき、本会議では、昨年名古屋高裁で逆転勝訴し難民認定を受けたケースをメインテーマに据えました。実際に上記裁判に関わった川口直也弁護士と羽田野真帆氏(名古屋難民支援室)による報告では、法的支援と生活支援という、難民支援に欠かすことのできない2つの側面に触れながら、ケースを通した課題提起もなされました。その後、難民認定制度の運用や保護の現状、困窮する難民認定申請者への公的援助、難民認定申請者の在留状況などについて、公的な発表や支援団体での統計をもとに難民保護の状況を概観し、その上で、名古屋のケースをどのように位置づけ、捉えることが出来るのか、分析を共有しました。また、昨今の国際的な動向についても、各種併せて共有されました。
 後半は分科会を開催し、支援者が抱える様々な課題について、その原因や現状を分析し、市民社会全体として何が出来るのかを議論しました。難民支援をめぐっては、様々な視点や意見がありますが、支援関係者は、より良い保護に向けた活動の「軸」を共有し、現状を踏まえた支援体制の見直しと充実、社会への働きかけに協力して取り組んでいくことが求められます。また、本会議を通して得られた提言を、どのように活かし、具現化していくことが出来るのか。なんみんフォーラムの取り組みについても、改めて見直す機会を持つことができました。

今後の課題
 昨年度より継続して開催してきた全国会議ですが、回を重ねるごとに、新たな参加者があり、専門分野やセクターも広がりを見せています。全国的な交流の場として、その規模を充実させることが出来ました。また、参加者からは、市民社会全体の役割を踏まえ、その底上げをどのように達成していくのかという視点と同時に、それぞれの活動の位置づけの振り返りの場としても有効であったという声が寄せられており、各団体や支援者が交流して得たことを、それぞれの活動に還元していく、という良い循環が生まれ始めているように感じます。
 しかし、参加者の知識・情報の量や分野が異なる中で、より具体的に議論を深めていくためには、テーマ設定やプログラム構成などに、さらなる工夫が必要とされていることも事実です。全国ネットワークの強化と難民支援全体の底上げのために、なんみんフォーラムとして何が出来るのか、より良いあり方を常に模索し続けながら、日本に暮らす難民及び難民認定申請者の支援に取り組んで参ります。(檜山怜美)