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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2013/06/27

ACCESS:子どもの人権セミナーワークショップ


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子どもの人権セミナーワークショップを開催しました

 アクセスはフィリピンの中でも、アラバット島ペレーズという貧しい農漁村地区で、「持続可能な地域づくり」に力を入れています。持続可能な地域づくりの取り組みの1つが、将来の地域活動の担い手を育てるための奨学金プログラムです。プログラム概要はこちらをご参照ください。

 2012年3月、私がフィリピンを訪問していた時にある事件が発覚しました。村人の一人から、「奨学生の一人が、義父から繰り返し性的虐待を受けている」という情報が寄せられたのです。一見、平和でのどかな農村地区のペレーズにも、子どもや女性に対する虐待事例は少なくありません。私たちは被害を受けている子を事務所に保護した上で社会福祉士と対策を練り、加害者(義父)の逮捕にこぎつけました。本人も母親も、一家の稼ぎ手を失うことを恐れ、経済的な不安から虐待の事実を隠し、暴力に耐え続けていたことがわかりました。

 町役場に虐待相談窓口はあるものの、女性職員がいないので安心して相談できる状況ではありません。また、小さな村での出来事なので、役所に相談したことがきっかけで虐待の事実が広く知れ渡ってしまう可能性もあります。虐待の事実を知っていても、どう対処したらよいかわからないという人が多いのが現状です。

 そうした状況を改善するため、アクセスでは、奨学生や保護者を対象とした子どもの人権セミナーやワークショップを定期的に開催しています。また、村議会のメンバーや保護者を対象に、子どもの権利を保護する地域づくりの先進事例を学ぶスタディツアーなども行っています。

 6月上旬、前述の性的虐待の加害者の裁判が開かれ、被害者の子どもと母親も本島での裁判に出席することになりました。加害者との対面、初めての裁判という不安を抱えた二人を支えるため、別の奨学生の父親が同伴してくれました。

 私たちは奨学金プログラムという枠を活用して、子どもの虐待事例を早期に発見し、村の住民の手で解決に導けるような環境づくりをすすめています。(野田沙良)