国際協力の現場から
国際協力の現場から2022/09/27ツイート
ソマリア大干ばつ緊急支援プロジェクト
ソマリアでは主に、いわゆるテロ組織アル・シャバーブからの逮捕者や投降兵の脱過激化・社会復帰支援に加え、アル・シャバーブからの投降(脱退)を促す取り組みなどを行なっています。以下では、これらに加えて8月より展開している大干ばつ緊急支援プロジェクトについて進捗をご報告いたします。 私たちは過去40年で最悪の干ばつに見舞われているソマリアにおいて、これまでの経験を活かした緊急支援プロジェクトを実施しています。
本プロジェクトは主に以下2つの活動で構成されています。
- 今まさに危機に直面している命を救うための緊急物資(食糧、水、医薬品)の提供、緊急治療、衛生・栄養面での啓発などを含む支援
- 若者が暴力に頼らずに生きていくための支援の強化です。
前者について支援対象としているのは、ソマリア中部におけるアル・シャバーブの支配地域から40kmほどの場所に新設された国内避難民キャンプ合計10か所です。同キャンプでは、干ばつの影響だけでなくアル・シャバーブによる脅威から逃れてきた人々が急増しています。
ソマリア中部は飢饉やテロのリスクが非常に高いにも関わらず、南部に比べて取り組みが不足しています。また、特に同キャンプは新設されたばかりで支援が十分に届いていないことから、支援対象としました。特に、乳幼児・5歳未満の子どもや、妊産婦・授乳中の女性など脆弱な立場に置かれた方々に優先的に支援を届けています。
これまで合計5,300名に対して、栄養補給の上で特に不足している1カ月分の米10kg・豆10kg・栄養価の高い粉ミルク2.5kg・料理用油3リットルを提供しました。加えて、清潔な水にアクセスできず下痢などの病気や感染症の罹患が重大な問題として挙げられているキャンプに対しては、給水車を用いて安全な飲料水・生活用水を届けました。また、子どもたちの中には栄養失調によって歩けなくなっている子もいるため、医薬品の提供に加えて、医療機関との連携のもと緊急治療も実施しています。
皆様のご協力のおかげで、紛争の前線が近くさまざまなリスクがあることから支援が不足しているエリアにて、特に取り残されている人々が生きるための支援を届けることができています。
国連をはじめとしたさまざまな援助機関が国際社会に支援を呼びかけていますが、残念ながらこのままでは飢饉(famine)が発生するとの予測が9月5日に正式に発表されました。前回の飢饉が発生した2011年には、およそ26万人以上が亡くなりました。現在は飢饉の一歩手前の段階ではありますが、すでに多くの命が失われている状況です。
なお、世界全体で見ると、直近の飢饉は2017年に南スーダン、2011-12年にソマリアで発生しました。10年ぶり2度目の飢饉に見舞われようとしているソマリアですが、同じように干ばつが発生したとしても、飢饉に至らない国は数多くあります。ではなぜソマリアばかりがこうした事態に直面するのでしょうか。その大きな要因の一つが、テロ・紛争の課題です。実際、テロ組織による攻撃や支配領域の拡大によって国としての脆弱性が高まることや、彼らの影響で治安が悪化し、国際機関が十分に活動できなかったり、支援物資が略奪されてしまったりすることなども相まって、救えるはずの命が失われる状況が発生しています。だからこそ、緊急対応のみならず、紛争解決に向けた取り組みも同時に実施することが必須であり、私たちのプロジェクトの意義はそこにあると考えています。
日々、現地政府や現地スタッフとの協働でプロジェクトを実施する中で、彼らからは「本当に意味のあることができている」という声が寄せられています。私たちとしてもこの問題をより多くの方々に伝え、ご支援・ご協力をいただけるよう尽力していく所存です。なお、現場での支援の様子や受益者の声を短い動画にまとめておりますので、こちらもぜひご覧頂ければ幸いです。
▼動画つきの新着情報はこちら
https://accept-int.org/emergency_somalia/news/
事態は深刻さを増していますが、今後も最前線でやるべきことに取り組んで参ります。
▼ソマリア緊急支援プロジェクト特設ページはこちら
https://accept-int.org/emergency_somalia/