国際協力の現場から
国際協力の現場から2021/08/31ツイート
ソマリア事業報告(2021年6月-7月)
【ソマリア事業】
ソマリアでは、テロ組織からの投降兵や逮捕者を対象に脱過激化・社会復帰支援をソマリア政府と連携して行なっています。具体的には、ケアカウンセリング、職業訓練の補助、社会側の和解に向けた対話セッション、幻滅対策セッション、身元引付人の調整、釈放後のフォローアップなどのプログラムを、包括的にアル・シャバーブの投降兵や逮捕者に提供し、社会復帰を後押ししています。
2021年7月には、受け入れを行っている対象者の1人(アブディラハン)が4年の刑期を終えて無事刑務所から釈放されました。彼は釈放される際に以下のようなメッセージをくれました。「釈放される今日のこの気持ちを言葉にできないほど胸がいっぱいです。私はアル・シャバーブ内ではドライバーを務めており、アミニヤット(アル・シャバーブの秘密警察)の一員でした。アクセプト・インターナショナルの活動を日頃より支えてくださっているアンバサダーの方々、代表理事の永井さんをはじめメンバーの方々、Sheikh Salad(イスラム教の先生)、Abdalla(現地スタッフ)、アクセプト・インターナショナルの活動を支えてくださっている全ての人々のおかげで、私は社会に復帰することができました。そしてアル・シャバーブや政府に反対する他のグループに二度と参加しないと心に誓っています。改めてアクセプト・インターナショナル、Sheikh Salad(私たちのムスリムの先生)、Abdalla(現地スタッフ)、活動を支えてくださった全ての方々に感謝します。ありがとうございます。」
また、上記はソマリアの首都モガディシュにある刑務所内での活動ですが、現役でアル・シャバーブの戦闘員として活動する人々に対しても2020年9月からアプローチを行なっており、テロ組織アル・シャバーブからの投降(降参)を促進するオペレーションを実施しています。具体的には、ソマリア国軍やコミュニティリーダーと連携しながら、新たな投降を促すためのリーフレットを制作し配布を行っています。リーフレットには、特別恩赦を含む投降プロセスの詳細やホットラインナンバーが記載されています。
事業の進捗として6月中旬頃から7月末までで12名の投降が実現しました。今回は本施策史上最年少である13歳の子どもが含まれており、ソマリア国軍からインテリジェンス機関を経由してユニセフに保護いただきました。彼は2008年生まれであり、アル・シャバーブ内では戦闘員として本格的な軍事訓練を受けていました。7月中旬の犠牲祭の時に故郷に戻った際、「アル・シャバーブでの活動が苦痛であり戦闘員を辞めたい」と父親に相談したところ、実は父親が当法人の作成したリーフレットを既に受け取っており、父親がホットラインに電話をくださったことでこの度投降が実現しました。リーフレットをただばら撒くだけでなく、地域コミュニティにも丁寧な説明を行いながら戦略的に展開を行ったことが功を奏したものと思います。
また、もう1名今回投降が実現した特筆すべき受益者がおります。彼は9歳でアル・シャバーブに加入し、8年アルシャバーブに従事したのちに今回投降が実現しました。現在17歳と大変若いですが、このようなケースは珍しくありません。このような少年とも呼べる若者を、「もう既に若者だから子ども兵じゃない、保護できないとしても仕方ない」とみなして突き放し、手を差し伸べないということは明らかに問題があります。こういった若者が1人でも多く新しい人生を見出し、社会に復帰するためにも当法人はソマリアで活動を行っています。今後も気を引き締め、精進していく所存であります。(広報・ファンドレイジング局長・河野)