国際協力の現場から
国際協力の現場から2015/06/12ツイート
ACESS:キャンプで出会った女の子から思うこと
キャンプで出会った女の子から思うこと
5月末、アクセスの事業地の一つアラバット島ペレーズで、青少年を対象とした1泊2日のキャンプを実施しました。今回のキャンプの目的は、地域の若者たちに「コミュニティに存在する貧困問題」、「人生の厳しさ」、「お金の価値」などを学んでもらうことが目的です。さまざまな体験型アクティビティ、映画鑑賞、キャンプファイヤー、ディスカッションなどを組み合わせた内容で、活動の最後には、今年1年、青年会の活動をひっぱるリーダーを決める選挙も行われました。
参加したメンバーは、日本やマニラの同世代の子たちと比べると、純朴でシャイでかわいいという印象です。アクティビティ一つ一つにも一生懸命参加し、男女の距離が近く、仲が良いのです。テレビや携帯くらいしか娯楽がないこの地域で、キャンプという楽しい時間をみんなで全力で楽しんでいるようでした。
キャンプ中、ビーチで休憩していた時、参加メンバーの近くにひとりの女の子が座っていることに気付きました。他の子と少し身なりが違っています。メンバーは「どこから来たの?」、「ご飯は食べた?」など質問し、お腹を空かせていた様子の彼女に自分たちのご飯を分けてあげることにしました。
どうやら家は近くにあるけど、家が貧しく、外で物乞いをしているとのことでした。ペレーズにはストリートチルドレンはいませんが、貧しい家庭では親が子どもに物乞いをさせているケースもあります。彼女はしばらくの間、私たちの周りで遊んでいたのですが、行儀が悪く、見かねたスタッフが注意したところ、どこかへ帰っていきました。
彼女が去った後、アクセス・フィリピンの事務局長がキャンプ参加メンバーに話をする機会がありました。その時彼女は、「さっきの女の子は可哀想に見えたね。もしかしたらあの子は、自分だったかもしれないと考えてみてほしい。」と話し、キャンプ参加者たちにペレーズが抱える貧困の問題についてあらためて考えてみるよう、促していました。
これはむしろ、私たち先進国に住む者へのメッセージでもあると思います。世界の北半分、日本に生まれてきたことだけでもものすごく恵まれているのですが、私は30歳を前にしてようやくその事に気が付きました。生活の中で常にこの事を頭の片隅に置くようにしています。(フィリピン現地ボランティアスタッフ 中野佳織)