国際協力の現場から
国際協力の現場から2015/02/12ツイート
access:「一緒にご飯を食べたこと、一生忘れません」
「一緒にご飯を食べたこと、一生忘れません」
冒頭の言葉は、フィリピンのペレーズ地区のレイモンドくんの言葉です。数年前から就学を支援してくれていたサポーターが日本からペレーズ地区を訪れてくれ、一緒にご飯を食べることができたのです。彼にとって、一生忘れられない思い出になったようです。同じように支援者の方と会えたジョリー・アンちゃんは、こんな風に話していました。
「私は恥ずかしがりなので、会えた時にはあんまりうれしそうにできなかったけど、本当はとってもうれしかったです。短い間だったけど、新しいお母さんができたようで、とっても愛してもらえているのがわかって、幸せでした。」
2013年の統計によると、フィリピンで就学できていない子どもの数は72万人。10人中3人の子どもたちが小学校すら卒業できないまま大人になっていきます。そんなフィリピンで、一人でも多くの子どもたちが小学校を卒業できるようにすることが、私たちの活動の1つです。日本のサポーター一人が、フィリピンの子ども一人を継続して支援し、手紙のやりとりなども行いながら、小学校卒業まで物心両面で応援するという仕組みを長年続けています。
フィリピンに行く度に、子どもたちから「私のサポーターさんってどんな人?何歳?」と質問を受けます。サポーターさんからの写真や手紙を手渡す際には、子どもたちは恥ずかしがってほぼ無表情なのですが、内心は相当嬉しいようで、子どもたちの宝物になっています。中には、サポーターさんからの手紙に励まされて中退を思いとどまった子、補習授業の出席率が良くなった子などもいます。会うことはできなくても、どこかに自分を応援してくれている人がいる、ということが子どもたちの力になっています。
日本のサポーターの方々も、子どもたちから届く手紙に元気をもらうようです。「手紙を冷蔵庫に貼って、毎日朝、元気をもらってから仕事に行っています」という声も聞きます。子どもの就学を支援することが、日本のサポーターにとっても生活の張りだったり、励みになったりするようです。
この教育支援を、単なる一方向の経済支援に終わらせず、双方向の心のかよった関係になるよう橋渡しするのが、私たちアクセスの役割です。フィリピンに、日本に、自分の家族がいるような気持ちになれば、平和につながっていくとも思います。子どもたちの成長を後押しすると同時に、平和を願い、平和に向かって行動する人が増えてほしい、という思いも、この活動には込められています。また、こうした支援で小学校を卒業した子どもたちが地域の課題に気づき、その解決のために協力できる大人になっていけるよう、サポートもしています。続可能な地域づくりという大きな目標に向かい、子どもたちと私たち大人が、一緒に働いていく必要があると思っています。(野田沙良)