国際協力の現場から
国際協力の現場から2014/09/22ツイート
ACCESS:子ども達の「美味しい」という言葉に支えられて
子ども達の「美味しい」という言葉に支えられて
今夏も、1ヶ月間のフィリピン出張に行ってきました。今回の滞在で最も心に残ったのは、ピナツボ火山被災地で美味しい無添加フィリピン料理をご馳走してくれたエデンさんというお母さんとの出会いでした。いつも笑顔を絶やさず、つねに周囲に気を配る働き者のエデンさん。私が事業地に泊まった晩、枕を並べて数時間、お話を伺いました。
その晩、エデンさんは子ども時代から今にいたるまでの長い長いライフストーリーを聞かせてくれました。貧しかった子ども時代、少しでも生活を楽にしようと中学を辞めて働き出したこと。結婚し子どもにも恵まれたものの、夫が酒や薬物にのめりこみ、暴力も振るわれるようになって離婚したこと。離婚後は働きづめでやせ細ってしまったこと。今は少しゆったりと暮らしたくて実家でのんびりしているということ…。そのストーリーから、彼女が常に懸命に生きてきた人だということが、ひしひしと伝わってきました。そんな彼女の言葉の一部を紹介します。
「今は、父の畑でとれる収穫物が、唯一の収入源になってしまいました。
生活はとても厳しいです。
でも今日は、スタディツアーで日本からたくさんの訪問者が来てくれた。
皆さんと一緒に踊った交流会は、とても楽しかった。
私もほかのお母さんたちも、みんな一瞬だけ嫌なことを全部忘れて踊ったの。
辛いことはたくさんあっても、ハッピーにならないとね。」
フィリピンの女性らしい言葉だな、と思いました。どんなに辛いことがあっても、今この瞬間をできるだけ楽しく、元気に過ごすよう努める。「泣いていたって、気持ちがますます落ち込むだけだからね。」と笑って吹き飛ばそうとする女性に、これまでもたくさん出会ってきました。
エデンさんは今、この地域の小学校の保護者会で、給食活動グループの会長をしています。アクセスが資金を提供し、その資金で保護者の方々がボランティアで給食を調理し、子どもたちに提供しているのです。
「地域の子どもたちに給食を提供する活動は、お金にはなりません。
でも、子どもたちが美味しいと言ってくれ、『もっと食べたい!』と言ってくる姿を見ると、とてもやり甲斐を感じます。
私にできることなら、子どもたちのためにしてあげたい、と思うんです。」
限られた資金の中で、保護者の方々が話し合い、工夫して実施している給食。地域のやる気のある人々の力を最大限生かし、地域の課題を地域の人々が解決するコミュニティづくりをすすめています。
◆エデンさんのライフストーリー全文を掲載しているFacebookページ
(野田沙良)