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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2014/06/23

適正技術を選択し必要な支援を組み立てる力が求められている


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メガラヤからのぞむベンガルデルタ/p>

適正技術を選択し必要な支援を組み立てる力が求められている

 5月11日(日)、NPO法人地域水道支援センターの総会後、バングラデシュでの水供給に関して講演させてもらいました。地域水道支援センターは、水源や経営の広域化とともに急速ろ過や膜ろ過の普及を進める国の方針に対する代替案として、低コスト・低エネルギーの緩速ろ過を普及させようとする気骨のある技術者が主な会員です。

 私はバングラデシュのお話をさせていただくとき、インド・メガラヤから撮ったベンガルデルタの写真(上)を見せながら、「世界最大の降雨量を誇るメガラヤの水がバングラデシュに流れ込む。この先400キロ、海までずっと平野が続く」とバングラデシュの自然や地形を語ります。

 講演終了後、一人の技術者の方とお話しました。

「微生物の働きで水を浄化する緩速ろ過には、継続的な水の流れを作ることが必要です。バングラデシュは高低差がなく位置エネルギーがないから、電気で水を汲み上げないと継続的な流水はできない。電力が不安定な途上国では難しいでしょう。バングラデシュにおいては、緩速ろ過の適用は限界があり、地下水利用を含めた最適技術が選択されるべきと感じました」

 バングラデシュの緩速ろ過の可能性を否定する発言ではないですが、一枚の写真から現地を読み解き、ご自分の得意分野を超えて適正技術を考える姿勢に感銘を覚えました。逆に日本は山国で高低差が多く、それを利用すれば電力を用いずとも水を流し続けることができて、緩速ろ過に適しているそうです。

 アジアの砒素汚染地域の話をすると、日本企業の水処理の商品を紹介されることが度々です。企業の技術を万能薬と思い込んでいる日本人の傾向を表しています。日本の技術をもってすれば砒素は除去できますが、価格、流通、維持管理等の問題でアジア農村部に適さないことが多いのです。現地の地形・風土・文化を読み取り、水源や技術を選択し、必要な支援を組み立てられる能力が求められていると改めて思いました。

 7月から地域水道支援センター、雨水市民の会と共に「生活と水を知る連続講座 めぐる・めぐみの水カフェ」を開催します。アーユスにもご協力いただき、一回目は7月8日(火)で新宿の常圓寺さんに会場を提供していただきます。ご参加いただければありがたいです。(石山民子)