国際協力の現場から
国際協力の現場から2013/11/21ツイート
ACCESS:人々とともに貧困と闘う生き方を
人々とともに貧困と闘う生き方を
アクセスの大切な活動の1つであり、私の大好きな活動であるスタディツアーが、無事に終了しました。フィリピンの都市スラムや農漁村の暮らしを体感しながら、貧困の原因を考えていただくツアーです。今夏は合計31名の方に参加していただき、アクセスの事業地を巡りました。
ツアーには、13人いるアクセス・フィリピンのスタッフの全員が何らかの形で関わります。コミュニティを訪れる時にはガイド兼通訳として、宿舎ではオリエンテーションなどの講師として、村での交流会では盛り上げ役として大活躍。ツアーを通じて、現地スタッフ、地域住民、そして日本からの参加者・スタッフが、家族のように一緒にすごし、濃厚な時間をすごしました。
今回のツアーでは、貧困の中で育った現地スタッフ2名が、自らの経験した厳しい半生を語ってくれました。出産後に出血が止まらなくなった妻を病院に連れて行ったものの、経済的な理由で十分な治療をすることができず、自宅に連れ帰って死を待つしかなかったという話を聞いた時は、全員が言葉を失いました。別のスタッフからは、「皆さんは、望めば不自由のない暮らしができる。でも、できれば、自分と家族のためだけに競争社会で勝ち抜くことをめざすのではなく、より厳しい状況で生きる人々とともに貧困と闘う生き方をしてほしい。」というメッセージをもらいました。
大量生産・大量消費が当たり前になってしまっている日本の私たちのライフスタイルが、南の国々から資源を奪い、人々の生活をより厳しくしてしまっている側面があります。そうした関係を見つめなおし、私たち一人ひとりが貧困を生み出さない暮らし方を実践することなしに、貧困問題を解決することはできません。私がツアーを通じて、参加してくださった皆さんとともに考えたかったことは、「より多くを所有し、より便利に暮らすのではなく、誰もが幸せに生きられる世界をどうやって創っていけばいいのか」ということでした。まだ明確な答えは出せていません。時間はかかっても、より多くの人々とこの問いについて話し合い、できることから実践していきたいと思っています。(野田沙良)