国際協力の現場から
国際協力の現場から2011/11/05ツイート
シェア:現地化への道のりまであと一歩
現地化への道のりまであと一歩
シェア=国際保健協力市民の会のタイ事務所は、2008年より本格的に現地化に向けて少しずつ歩んできました。2011年9月に無事にタイ財団登録書を県庁に提出し終え、現在は新財団の承認を待っている段階です。今まで長い道のりを経てきましたが、新財団となっても課題はまだまだ続き、シェア本部からの支援もまだ段階的に必要とされます。本稿では今までの財団化までの道のりと今後の課題についてご紹介いたします。
今までの財団化までの道のり
- シェア本部とタイ事務所、理事候補との話し合い
- 登録資料作成のための準備
- タイ国内の他財団からの情報収集
- タイ人理事決定
- タイ人理事と日本人理事、シェアタイ事務所スタッフ間の発起人準備会開催
- 専門家と事務局長によるタイ人スタッフ育成トレーニング
シェアは元々現地の人々による自立を目指して、タイ人スタッフや地域の保健活動に関わる人材の育成に力を入れてきました。その結果、タイ人スタッフが日本人の手を借りずに自らの力で活動ができるようになりました。2008年からはタイ人の力でNGOの運営もできるようにと現地化を目指して、タイ事務所のマネージャーを日本人からタイ人にしました。そこで、予算管理、事業の運営をタイ人に任せつつ、日本人スタッフが日本側、タイ側から支援してきました。途中タイ事務所の代表や予算管理をするアドミニストレーターが代わったり、タイの政治情勢が悪化し発起人準備会が延長されたり、いろいろとハプニングがあり、予定より現地化が進まない時期もありました。それでも地道に現地化を進めてまいりました。
タイ事務所にとって最も困難だった点はタイ人理事とのコミュニケーションです。何故なら、タイ事務所はウボン市内から110キロ離れた遠隔地に位置し、理事メンバーは仕事の関係でウボン市内、ヤソトン県、アムナーチャルン県と、それぞれ離れたところにいらっしゃいます。そのために一堂に会する機会を、なかなか持つことができませんでした。また理事の皆さま現役で現在県の保健行政の幹部、医療従事者、大学教授から成り、なかなか都合のよい日程が合わないため、お一人ずつお会いしてお話する必要がありました。
今回新財団の理事になって下さった方はシェアが20年前に事業を始めた時のカウンターパートが多く、長年シェアに共感し信頼してくださっている方ばかりです。ただ、現役のシェアスタッフは過去にお世話になったタイ人理事と直接のつながりがない中、どのように信頼関係を再構築したらよいか迷うこともありました。その結果、できるだけ直接お会いしてお話しすることが重要だという結論に達しました。
現在の大きな課題としては、資金獲得です。シェア本部から独立することで日本からの支援資金が減少することを懸念しています。特にタイでは政府がNGOを支援するというスキームがないのと、海外のドナーはタイよりはさらに貧しい周辺国に注目しています。そのような状況で、未だ支援が必要とされている東北地方のタイでどのように資金を獲得するかが課題です。
最後にアーユスさまのご支援により、タイ事務所の現地化が成し遂げられようとしていることに感謝申し上げます。
(広本充恵)