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平和人権/アジア

平和人権/アジア2026/04/24

ミャンマー軍主導の新体制の非承認と武力紛争解決の具体的支援を日本政府に要請


アーユス仏教国際協力ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、日本国際ボランティアセンター(JVC)、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、メコン・ウォッチの5団体は、日本政府に対し、要請書「ミャンマー軍主導の新体制の非承認と同国における武力紛争解決のための具体的な支援を求めます」を提出いたします。
日本政府は今のところこの体制を承認はしていませんが、重要アクターであるASEAN諸国は一枚岩ではありません。日本政府はこれまで一貫してASEANを通して問題解決をはかると強調しているため、ASEANの足並みの乱れの影響が懸念されるところです。5月初旬にASEANサミットもあることから、皆様にもご賛同いただきたく、お知らせする次第です。

要請書では、ミャンマー情勢、今回の「選挙」プロセスの問題点、日本政府のリアクション、ASEANの5つのコンセンサスへのコミットを説明し、以下を求めています。

  • 選挙結果に基づいて発足したと主張するミャンマーの見せかけの政府を、同国の正当な政府として承認しないと国際社会に表明すること
  • ASEAN各国に対し、ミャンマーの見せかけの政府を同国の正当な政府として承認しないよう働きかけること
  • ASEANの5つのコンセンサスで求められている暴力の停止を確実にするため、ASEANと協力すること
  • ミャンマー軍に対し、ASEANの5つのコンセンサスを迅速かつ効果的に実施するよう強く求めること
  • すべての国に対し、国連決議を遵守し、ミャンマーへの武器・弾薬・軍事装備の移転および流用を停止するよう求めること
  • ミャンマーと日本の市民社会を通した人道支援を強化すること

ご賛同いただける場合は、4/27(月)正午までに以下のフォームにご記入をお願いいたします。

▶賛同署名フォーム

ご質問等はメコン・ウォッチ、contact(@)mekongwatch.org にご連絡ください。

[要請書]
ミャンマー軍主導の新体制の非承認と

同国における武力紛争解決のための具体的な支援を求めます

内閣総理大臣 高市早苗様 
外務大臣 茂木敏充様

私たちは、ミャンマー軍主導の2021年2月1日のクーデターにより同国で激化している暴力や混乱について、強い懸念を有している日本の市民団体です。

ミャンマーでは、2025年12月から2026年1月にかけて、親軍政党や軍の協力政党のみが候補者を立てられる形で、上下院の国会議員を選ぶ「選挙」と称するものが行われました。これはミャンマー軍が表面上の民政移管を通じて自らの支配を正当化させるために行なったもので、自由で公正な選挙からはほど遠いものでした。

この見せかけの選挙で、軍系政党である連邦団結発展党(USDP)は7割を超える議席を獲得しています[1]。ミャンマー軍のプロパガンダ紙は、これら党員で構成された連邦議会で大統領を選ぶ議員投票が行われ、ミンアウンフライン前軍総司令官が新大統領に選出された、と報じています[2]。しかし、下記の理由から、日本政府がこの新体制をミャンマーの新政府として承認することは許されません。

今回の見せかけの選挙は、選挙関連法や死刑を含む重罪を課す選挙妨害防止の法等で人びとの言論や政治参加を抑圧し、政権与党であった国民民主連盟(NLD)を解党、更に野党を全て排除するという、軍政による周到な準備の上で行われたものです[3]。最終的に、265郡区で3回に分けてその投票が実施されましたが、「治安上の理由」で国の2割の地域でこのプロセスは行われていません[4]

そもそも、2025年12月1日時点で、ミャンマー軍政によって、確認されているだけで7,503名近い人々が殺害され、2万2,000名以上が不当に拘束されていた中[5]、この見せかけの選挙は行われました。クーデター以降、ミャンマー軍は11,335回の空からの攻撃を行っています。これらの攻撃で、5,478名の死亡と9,298名の負傷が確認され、160の医療施設、474の教育施設、720の宗教関係施設が破壊されたと報告されています(2026年3月までのデータ)[6]。攻撃により、子どもを含む多くの民間人が死傷しています。

2026年2月から3月にかけて開催された、第61回国連人権理事会で採択されたミャンマーに関する決議[7]でも、次の点が強く非難されています。

  • 自由でも公正でも包摂的でもない選挙の実施を通じて2021年2月のクーデターを正当化しようとするミャンマー軍の試み、民間人を死亡、負傷させ政治的投獄の増加につながった選挙関連の空爆や暴力行為、ミャンマー軍のいわゆる「複数政党制民主的総選挙の妨害・混乱・破壊からの保護法」が、政治的表現および言論の自由を阻み罰するために適用され、結果として脅迫、恣意的逮捕、政治的投獄、拷問その他の虐待が行われていること
  • ミャンマー軍が、安全保障理事会決議2669(2022)および東南アジア諸国連合(ASEAN)の5つのコンセンサス[8, 翻訳]の実施において前進を見せていないこと

私たちは、2026年4月3日の内閣官房長官記者会見[9]で木原稔官房長官が、ミャンマー情勢改善に向けた働きかけを強化すると述べられていることを歓迎しております。一方、「他国の内政のことでコメントすることは差し控える」として、「新大統領」選出に関しては、意見を控えられていることを懸念しています。

4月1日の参議院「政府開発援助及び国際協力・人道支援等に関する特別委員会[10]」で、石橋通宏参議院議員が日本政府のミャンマー「新政権」の承認の有無に関し質問した際、茂木敏充外務大臣は、大使は置かず臨時大使となっており、「アグレマン(外交使節の任命において受入国が事前に同意を与える手続き)の承認を求めていないことであります」、と答弁されています。これはミンアウンフライン前軍総司令官が「新大統領」となった体制を明確に否定するものではなく、今後の情勢の変化によっては、この偽りの手続きで誕生した体制を認める可能性を残していることを懸念します。日本政府は、2021年4月24日にASEANリーダーズ・ミーティングで発表されたミャンマーに関する5つのコンセンサスを支持すると重ねて表明してきました[11-1, 11-2]。しかし、ASEAN各国の見せかけの選挙への対応は揃っていません。カンボジアとベトナムは選挙監視団を派遣し[12]、タイは「新大統領」就任に祝意を表明したと報じられています[13]。一方、今年の議長国フィリピンは、1月に開催された非公式外相会談において、現段階でASEANは選挙を承認していない、と明言しています[14]。日本は、クーデター以降毎年2月1日に発表しているミャンマー情勢に関する外務大臣談話で、一貫してASEANとの協力連携を重視することを表明しています。しかし、ASEANの足並みが乱れていては、5つのコンセンサスの実現は不可能です。日本は2010年に始まった民政移管の際には、ミャンマーの債務削減に積極的に関与しその後の同国の経済成長を政府開発援助(ODA)で後押ししてきました。また、ASEANとの50年以上にわたる友好協力の歩みの下、日本政府はASEAN各国とも良好な外交関係があるはずです

このような状況を踏まえ、以下の行動をとっていただくよう要請いたします。

  • 選挙結果に基づいて発足したと主張するミャンマーの見せかけの政府を、同国の正当な政府として承認しないと国際社会に表明すること
  • ASEAN各国に対し、ミャンマーの見せかけの政府を同国の正当な政府として承認しないよう働きかけること
  • ASEANの5つのコンセンサスで求められている暴力の停止を確実にするため、ASEANと協力すること
  • ミャンマー軍に対し、ASEANの5つのコンセンサスを迅速かつ効果的に実施するよう強く求めること
  • すべての国に対し、国連決議を遵守し、ミャンマーへの武器・弾薬・軍事装備の移転および流用を停止するよう求めること
  • ミャンマーと日本の市民社会を通した人道支援を強化すること

また、説得力を持ってこれらの行動を国際的にリードするためには、日本政府自身もミャンマー軍のビジネスと関係するODA事業や公的資金を供与する事業を直ちに停止する必要があることを申し添えます。

 

呼びかけ団体:
アーユス仏教国際協力ネットワーク
国際環境 NGO FoE Japan
日本国際ボランティアセンター(JVC)
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
メコン・ウォッチ

本件に関する問合せ先:
メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東 1-12-11 青木ビル 3F
電話: 03-3832-5034
E-mail: contact(@)mekongwatch.org