国際協力の現場から
国際協力の現場から2009/01/20ツイート
ACE:しあわせへのチョコレート。
バレンタインデーが近づいてきました。「バレンタインといえばチョコレート」というのは実は日本特有の習慣で、昭和30年代中頃にとある製菓会社がチョコレートの販売促進を狙って仕掛けたのがはじまりとか。最近では女性から男性への愛の告白だけでなく、自分へのごほうびや、友情や感謝を示すアイテムとしても広まっています。甘い味と香りで人々を魅了するチョコレート。しかしその恩恵を受けられるのは世界でもごく一部。原料のカカオ生産現場には、児童労働や強制労働、人身売買という苦い現実があります。
世界に流通するカカオの約7割は西アフリカ原産。赤いパッケージのガーナチョコレートが代名詞となっているように、日本に届くカカオの約7割はガーナ産です。2008年2、3月にACEがガーナで行った調査では、カカオの生産による収入だけでは生活が成り立たず、子どもの教育費を削らざるをえない零細農家に話を聞くことができました。子どもたちはノートや鉛筆、制服が買えないために学校に行けず、畑で農薬や過重な運搬作業などの危険な労働にさらされていました。机やイスの不足や学校への距離が子どもたちを学校から引き離しているという側面もありました。チョコレートを食べてしあわせになる日本の消費者。一方で最低限の生活さえできていない原料生産者とそのしわよせを受ける子どもたち。このギャップはどこから来るのか、疑問が深まりました。
生産者に利益が還元されない農業経済システム、投機目的のカカオの国際取引による不安定なカカオの価格など、複雑になりすぎたグローバル経済がその背後にあります。まずは現地の状況を少しずつ変えていこうということで、ACEは2009年2月(予定)から、ガーナで子どもを直接支援するプロジェクトを開始します。現地NGOとパートナーを組み、ガーナ有数のカカオ生産地アシャンティ州のひとつの村で、子どもを危険な労働から解放し、教育を推進する取り組みです。そして、この取り組みをチョコレートの消費者に支えてもらおうというのが、1月から始める「しあわせへのチョコレート」プロジェクトです。
このプロジェクトでは、ヨーロッパで「幸せのシンボル」として親しまれている「てんとう虫」の形をした一口大のチョコレート(4つ入り)を、1パッケージ500円で販売します。売上のうち約250円を寄付としてガーナの子ども支援に活用する仕組みです。募金活動やイベントも行います。今回販売するのは、乳化剤、香料、保存料などの食品添加物を一切使用していないオーガニックのチョコレートです。原料のカカオは、スイスのオーガニック認証機関より認証を受けたドミニカ共和国とボリビアの有機農家が栽培しており、労働環境にも配慮が行き届いています。現在日本に輸入されるガーナ産のカカオでこのような環境で作られたことを証明できるものはありません。つまり日本で消費される大半のカカオの裏側には苦い現実があるということです。消費者の力でガーナの子どもたちやカカオ生産農家の生活を変える「しあわせへのチョコレート」を買って、ガーナの子どもたちのしあわせにつなげてみませんか。てんとう虫チョコはACEオンラインショップからお求めいただけます。(白木朋子)