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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2023/03/31

ケニア事業部の取り組み(アクセプト・インターナショナル)


 2月は代表・永井が情熱大陸に取り上げられたことや、それに伴うメディア露出、支援者の皆様による情報拡散に加え、月末の新著発売など、アクセプト史上最も多くの方々に関心を持っていただけた月となりました。2020年の初頭、ちょうど組織として広報活動に力を入れ始めた頃は300名ほどのアンバサダー(毎月の支援者)に支えられていたところ、3年が経った現在は1050名を超える方々からお力添えをいただくことができています。今回は、ケニア事業部の取り組みについてご報告いたします。

ケニアにおける取り組みの経緯

 私たちの活動は、ケニアにおけるソマリア人に対する取り組みから始まりました。特に2013年から開始したソマリア人ギャングの脱過激化・社会復帰支援は、現在のソマリアやイエメンでの取り組みに繋がる重要な経験でした。対象としていた170名規模のギャング組織が2018年に解散式を実施して以降は、ソマリア人に限定するのではなく、広く過激化リスクの高い若者失業者に対して、スマートフォン修理スキルとライフスキルトレーニングを通じた収入創出支援を2019年から開始し、2年半で200名を超える若者を受け入れてきました。

 また、北東部マンデラでは、2017年よりUN-HABITATからの要請を受け、州政府とともに若者の過激化防止のための取り組みとしてセンターを設置し、2年間で約1500名の若者に対してライフスキルトレーニングを提供してきました。ケニアはソマリアやイエメンとは異なり、熾烈な紛争地ではありません。しかしながら、ソマリアを拠点とするテロ組織アル・シャバーブはケニアにおいてもテロ攻撃や戦闘員のリクルートを行っており、さまざまな取り組みが求められています。

ケニアにおける最近の取り組み

 ここ1年間は主に、前述した若者失業者への収入創出支援に加え、国家テロ対策センター(National Counter Terrorism Centre: NCTC)を巻き込んだ政府機関職員への暴力的過激主義対策に関する研修や、UN-HABITAT、IOM、UNDPなどの国連機関を巻き込んだ現地コミュニティへの過激化防止に関する啓蒙・啓発をケニア各地で実施してきました。

政府機関職員への研修の様子

 加えて、ソマリアやイエメンでの経験を活かして、ケニアにおいても刑務所におけるテロ関連受刑者の社会復帰支援の取り組みが始まりました。

直近の成果

 前述した過激化リスクの高い若者失業者に対する収入創出支援に関して、日本のODAを担う機関であるJICAからの委託という形で、2年間の助成をいただくことが決まり、2022年12月よりプロジェクトが開始しました。1月は、本プロジェクトを協働で実施する現地NGOのスタッフ15名に対して講師研修を実施し、2月は彼らとともに30名の若者失業者に対して研修を実施しました。

研修でAndroidのスマホを開ける様子

 また、研修修了直後からビジネスに移行することができるよう、修理のためのツールキットも提供しています。そうした取り組みを経て、受け入れた30名の若者失業者のうち28名が最初の顧客をすでに獲得しており、3月はそのフォローアップを実施中です。

 刑務所での取り組みで協働している国家テロ対策センター(NCTC)も本プログラムを高く評価しており、他地域への横展開の可能性についても議論することができました。本プロジェクトのみならず、ケニア事業部として意味のある取り組みができるよう、引き続き奔走していく所存です。