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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から

国際協力の現場から2021/10/28

「脱軍備・平和レポート」11号を発行(ピースデポ)


 ピースデポは脱軍備・平和レポートを2カ月ごとに発行していますが、11号では日米地位協定についての特集記事を書きました。地位協定は在日米軍の法的地位や基地の運用について定めています。この協定の条文とその意味を読みこなすのは難しかったですが、その運用の実態について調べれば調べるほどさらに知りたくなり、とても勉強になる特集でした。今回の報告では、特集の記事から私が学んだことを書きます。

 在日米軍基地は米国が排他的な使用権や管理権を持ち、日本の領土であるにもかかわらず日本側は米軍の許可なく立ち入ることができません。その結果、犯罪を犯した米兵が基地に逃げ込み、日本の警察が逮捕できないケースが生まれます。悪質なケースでは、女性暴行の容疑者が基地の飛行機で米国に帰ってしまったこともありました。日本側に身柄が引き渡されたとしても、重大犯罪を除き、米兵の一般刑法犯の起訴率は日本全体のそれよりも低いです。

 基地周辺の住民たちも、米軍機による夜間の騒音被害や低空飛行、重い物体を吊り下げての住宅街の上空での飛行などで、暮らしを脅かされています。しかし、裁判所は米軍の活動について「第三者行為論」という論理を持ち出し、その活動を制限するような判決を出しません。基地周辺で米軍による環境汚染も起きていますが、日本の環境基準を守らせるほどの権限を日本の当局は持っておらず、環境汚染被害は今も各地で続いています。

 米軍機が墜落事故を起こした際も、米軍は現場を封鎖し、日本の警察の捜査を許そうとしません。その象徴的な事例が2004年に起きた沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事故です。

 地位協定の抜本的な解決を求める声は日本全国にあります。政府がするべきことは、地位協定の運用改善や補足協定の締結でお茶を濁すことではなく、米軍に国内法を適用することができるように、地位協定を抜本的に改定することです。地位協定にまつわる問題は、日本の主権に関わる重大な問題であるという認識を今回の特集で持ちました。脱軍備・平和レポートはピースデポのホームページで読めるので、少しでも多くの人に読んでもらえたら嬉しいです。