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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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国際協力の現場から2014/12/24

ACCESS:地域で、「若者ボランティア」を育てる


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地域で、「若者ボランティア」を育てる

 フィリピンの農漁村地区の海辺、強い日差しが照りつける午後2時。干潮の時間をねらい海岸にマングローブの苗を植える、中学生~高校生の若者たち、約20人の姿がありました。ヒトデで遊んだりおしゃべりを楽しみながら、ゆっくりと海辺にやってきた若者たちでしたが、いざマングローブの苗木を植えるときになると、テキパキと動き、表情も真剣そのものです。

 「深めに植えてね」
 「苗同士の感覚は最低2〜3メートルは開けるんだよ」

 何度も植樹活動に参加している先輩メンバーが、新入りメンバーにアドバイスをしながら活動は進められ、この日は160本の苗を植え切りました。

 この日、青年会のリーダーであるベルは、こんなことを話していたそうです。
「僕たちはこの島に住む人間と生き物たちのためにも、豊かな自然をこれからも守っていきたいんだ。何より、植樹はすごく楽しいし、HAPPYな気持ちになれるしね。」

 今回植樹を行った場所も、以前はもっと多くのマングローブが植わっていたそうです。しかし台風などの影響で被害を受け、次第に数が減ってきているのが現状です。

 この活動は、環境保護活動を通じた、地域の若者育成の取組みです。若者たちが、環境問題や子どもの権利侵害など、地域の課題を知り、その解決のために自分たちには何ができるかを考え、行動にまでつなげていくというプロセスを大切にして活動しています。

 経済的な困窮に悩む子どもたちや、家庭環境が複雑な子どもたちが孤独や不安を抱え、辛い思いから目を逸らす手段としてタバコやアルコール、ドラッグなどに手を出すことは少なくありません。部活動がさかんではないフィリピンでは、13歳以上の若者が思春期の複雑な想いを表現したり、進学できるかどうかわからない不安を解消したりする機会が非常に限られており、親たちにとって「非行防止」は大きな課題になっています。

 そんな中アクセスでは、都市貧困コミュニティと農村コミュニティの両方で、13歳~20歳の若者を対象に、踊りや演劇などの文化活動や、地域のためのボランティア活動に取り組む「青年会」活動を行っています。特にこのペレーズ地区では、植樹のほか、地域の子どもたちに勉強を教えるボランティア活動も進んでいます。

 活動の中で、少年・少女たちは少しずつ、自分が置かれている環境を客観視することができるようになっていきます。自分の悩みや葛藤を他者に知ってもらうことができ、なかまから共感を得たり、異なる意見を聞くことで、少し心の重荷を軽くすることができるようです。

 こうして若者たちが安心して心を開ける場をつくり、「地域のために活動する経験」を持ってもらうことで、地域の課題は地域の人々が解決するコミュニティづくりを進めています。

★今年の青年会活動の資金が不足しています。ぜひ活動を応援してください! 詳細はこちら