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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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平和人権/アジア

平和人権/アジア2023/03/01

JFCネットワーク活動報告(2022年12月-2023年1月)


【国内外の現場での活動の様子】

<フィリピン>

・現地事務所・マリガヤハウスの日本人スタッフの河野尚子が2020年4月1日に急逝し、同年10月から新しくソーシャルワーカーとなったクリスティンさんにより、毎月第1木曜日にオンラインによる「ベーシックオリエンテーション」実施が定着化しました。毎回10-15件(JFC母子またはJFC)の参加があります。12月9日、1月11日にベーシックオリエンテーションを実施しました。

・東京事務所にもマリガヤハウスにも毎日数件の問合せがあり、現在オリエンテーション参加待ちは50件を超えています。

・「ベーシックオリエンテーション」実施の2週間後の木曜日に「ケース受付ミーティング」を実施しています。ケースを受理するための書類の確認を行いますが、インフレ率が6%を超え、日本も同様ですが、物価の高騰激しく、人々は経済的に非常に困窮していく中、貧困のために書類を取寄せるだけの費用が工面できずにこのミーティングに参加できない母子が約半分あるのが現状です。

・オリエンテーションの実施がオンラインとなり、マニラのマリガヤハウスではルソン島およびビサヤ諸島、ダバオのRGS-COWではミンダナオ島に暮らす母子からの相談を受け付けるようになり、フィリピン全土のケース相談を受け付けられるようになりました。

・2009年の国籍法改正後、日本国籍を取得したJFCたちが来日するケースが増えていますが、来日の際に悪徳なエージェントに来日と就労のサポートを依頼し借金を課せられるケースや国内の労働条件が悪く労働基準法違反のケースも見られます。

・そのため、2021年11月29日(火)に第1回の国籍オリエンテーションを実施しました。オリエンテーション参加者は日本国籍を取得した、または取得間近のJFC当時者で、近い将来、来日する可能性の高いJFCです。この目的は、日本国籍を取得したJFCとその保護者や母親に、日本国籍を得るということや戸籍について、労働や日本での生活について学んでもらい、知識を得たもらうことです。オリエンテーションには、9人のJFCと10人の母親が参加しました。

マリガヤハウスとJFCネットワークは、今後も定期的に日本国籍を取得した新旧のケースに対応するため、日本国籍取得オリエンテーションを実施する予定です。

<東京>

◆2つの意見書を提出しました。

成年年齢引下げがJFCの日本国籍取得に及ぼす影響についての意見書)

2022 年4月1日、成年年齢の引下げ等を内容とする「民法の一部を改正する法律」(平成 30 年法律第 59 号)が施行され、成年年齢が 20 歳から18 歳に引き下げられました。

  これに伴い、国籍法も一部改正され、認知された子が届出により国籍を取得することができる年齢及び国籍を喪失した子が再取得することができる年齢が20 歳未満から 18 歳未満(国籍法 3 条1項)に引き下げられました(国籍法3条1項、同17 条1項)。また、複数国籍者の国籍選択も原則として「22 歳に達するまで」から「20 歳に達するまで」に引き下げられました(国籍法 14 条1項)。

  JFC ネットワークでは、日本人とフィリピン人の間に生まれた子ども(Japanese-Filipino Children: JFC)につき法的側面を中心に支援を行ってきているところ、今般の国籍法の改正は、JFC に大きな影響を及ぼしているため「意見書」としてまとめました。

民法などの一部を改正する法律案による国籍法3条3項の新設に反対する意見書

民法等改正に伴う国籍法改正の問題について、近藤博徳当法人理事を代表とする弁護士有志の会や、JFCネットワークを含むいくつかの団体で、反対の意見書を作成、公表しました。

民法等改正問題については、いわゆる離婚後300日問題への対応等にスポットライトが当てられていますが、「民法等」という表題から明らかなとおり関連法の改正も含まれていて、その中に、国籍法3条3項の新設という改正が入っています。

今回の改正では「認知」について無効主張に一定の歯止めをかけて当事者(子)の身分の早期安定を図っている一方(改正案の民法786条)、日本人父等による認知に伴って国籍法3条に基づいて取得するor取得した日本国籍については、わざわざ国籍法3条に3項を設けて、認知の反対事実(日本人父等との血縁を否定する事実)が判明した場合には無期限に日本国籍を否定する(一度取得している場合でも遡及的に”剥奪”する)ことが明文化されようとしています。