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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/08/23

【街の灯トーク#6】コロナ禍で追いつめられる子どもたち③


マイノリティの子どもたち

ー外国にルーツを持つ子どもたち

甲斐田 そのなかで、マイノリティの子どもたちがどんな状況なのか。私たちが着目する3つのグループのうち、まず「外国につながる子どもたち」のおかれている状況を簡単にご説明します。
 まずは「教員の理解がない」ことがあげられます。子どもがつらさを話しても理解されない、日本語がうまく話せない子どもたちだと「自分の国に帰れ」と言われる、あるいは言葉ができないだけなのに「おかしい」「発達障害なんじゃないか」と扱われて、特別支援学級に入るよう強く勧められて、実際に入っている子がたくさんいる。これらの事例を「すたんどばいみー」というNGOからも聞き、『「発達障害」とされる外国人の子どもたち』という本にも事例が多く書かれています。また親も子どもの権利について理解がなく、出身国の伝統的なジェンダー不平等の考え方にとらわれて、娘たちと価値観が異なっていることがあります。

ーLGBTの子どもたち

甲斐田 次に「LGBTQの子どもたち」。性的マイノリティとよばれたりしますね、自分でまだ性的指向のわからない子もいます。やはり教員の理解がなく、同級生からいじめにあっても止めてくれない、いっしょにからかって、一時的なものだと言う。そして、一番ハードルが高いのが親で、自分のありのままを認めてくれず、ひどい場合には治療しようとすることもあります。
 政府もLGBTの子どもたちの問題を人権問題というよりは、自殺対策の一環として扱ってきました。社会にもさまざまな差別があるため、子どもたちが将来の仕事について夢を見られない状況もあります。

ー不登校の子どもたち

甲斐田 3つめのグループが「不登校の子どもたち」。2016年に教育機会確保法が制定されて、子どもたちが学校以外の場所で学ぶことが認められたにもかかわらず、学校の先生は「学校に戻ってこなくてはいけない」という考えを押し付けてくる。また親も、最初は「行かなくてもいいよ、休んでいいよ」と言っているけれど、だんだん「そろそろ学校にいってほしい」と圧力をかけてしまう。ホームエデュケーションのような学び方は、社会でまだまだ認められていません。

ー守られていないマイノリティの子どもの権利

甲斐田 実は31年前につくられた「子どもの権利条約」では、どんな子どもも差別されない権利を認めていたのですが、日本政府は毎回、総括所見において「民族的マイノリティ(コリアンの子どもや難民の子どもたちなど)が差別されていて、十分な対策がとられていない」と勧告されています。28条と29条に、教育に関する権利が定められていますが、こちらにも「自らの言語や文化をきちんと学べるように保障しなければならない」「日本語教育プログラムをきちんと整備しなくてはならない」ということが規定されているにもかかわらず、マイノリティの子どもたちはそうしたサービスを十分に受けていません。「子どもの文化的アイデンティティを大切にする」ことも規定されていますが、それも十分に守られていません。
 また第30条には、少数者の子どもの権利が規定されていますが、こちらも日本でまだ実現されていません。国連子どもの権利委員会から総括所見で、「もっとマイノリティの子どもたちが自分の言語で教育を受ける機会を提供しなくてはならない」「社会的差別とたたかえるようなサービス、啓発活動が必要だ」と勧告されています。
 さらに2017年、これだけ世界中で移住する子どもたちが増えているなかで、「国際的移住の子どもに対する一般的意見」が採択され、移住者である子どもに対していかなる差別も解消しなくてはならないし、教育上の配慮、特にジェンダーへの配慮が必要だ、そのためには追加的な言語教育、スタッフ、学習機会の提供、教員研修が必要だと定められました。これらのことを、教員や自治体、さらには子ども自身にも伝えて、権利を主張できるようになることが大切と考えています。

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