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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2022/04/18

【ウクライナ】緊急募金第一次報告


ウクライナ緊急救援募金 ご協力を有難うございます。(2022年4月15日up)

 ロシア軍のウクライナ侵攻は、世界を大きく揺るがせています。世界の他地域でも紛争で多くの命がうしなわれていますが、国連の常任理事国でもある大国が正面から武力を使って他国を侵略したことは、国際協調や対話での解決という、大戦後に重ねられてきた努力や倫理が崩れていく危機感を広げ、不安感を抱いている方も多いことと察します。
 しかし今はまず、戦禍の直接の被害を受ける人たちへの支援と、戦争を止めることが最優先です。アーユスは、36年前のチェルノブイリ原発事故以来、ウクライナやベラルーシの事故被災者に支援を続けてきた2団体によるウクライナ市民への緊急救援活動に協力することとしました。
 お彼岸直前からスタートしたウクライナ緊急救援募金は、みなさまのご協力により3月末時点で2,047,046円となり、第一次としてまずは50万円ずつ計100万円を協力しました。本当にありがとうございました。今後も引き続き、状況を注視しながら必要に応じた支援を行なって参ります。今回ご協力した2団体の活動を下記にご紹介します。


■ジトーミル州への緊急支援 ー協力先:チェルノブイリ救援・中部(CHQ)■

 ウクライナのキーフ州の西隣に位置するジトーミル州も、ロシア軍による戦火に巻き込まれ、多くの犠牲者が出ています。ここは長年にわたりCHQが、原発事故被災者支援を行っていた場所であり、現地のパートナー団体と密に連絡を取り合うなか、これまで支援を行っていた北部のナロージチ地区が爆撃を受ける、交流を続けていたジトーミル市内の小学校が半壊するなど、気がかりな知らせが日々寄せられました。避難せずに残っている人たち、またロシア軍の撤退によって避難先から戻る人も多くいるために、支援に乗り出しました。現在、ウクライナ国内には十分な物資がないため、日本からドイツのNGOに送金し、調達してもらった物資をポーランドとウクライナの国境まで運びます。そこで、ウクライナのパートナー団体「チェルノブイリ・ホステージ基金」が受け取ってジトーミル州で必要な場所に配布しています。第一次支援の主なものは、医薬品や粉ミルクでしたが、中にはチェルノブイリ原発事故の影響で心臓を煩っている方向けの心臓病の薬など継続した服薬が必須なものもあり、患者さんたちの健康状況が案じられます。
 半壊した25番小学校は、CHQのメンバーが現地を訪問する度に訪ねて交流を重ねてきたところで、同じように原発事故の影響を受けた福島県南相馬市の小学校とクリスマスカードを交換してきました。たとえ戦争が終結しても、その後の復興への道のりにも時間を資金が有することは明らかであり、CHQは中長期の取り組みを視野に入れながら、まずはこの難局を乗り越えるためにお手伝いをしています。

■スロバキアとの国境の町ウジホロドとポーランドでの避難者支援 ー協力先:日本チェルノブイリ救援基金(JCF)■

 JCFは、チェルノブイリ原発事故の後から主にベラルーシでの被災者支援を行っていましたが、ロシア軍によるウクライナ侵攻ののち、ウクライナからの難民や国内避難民の支援に取り組んでいます。JCFの関係者の呼びかけから、ウジホロドのカトリック教会とつながり、ウクライナ国内では教会を拠点に避難している方々へとポーランドでも関係者を通じて難民への食料などの物資配布を行っています。
 ウジホロドには、ウクライナの首都キーフや南部の町からの女性と子どもが多く逃れてきています。すぐに国外に向かう人もいれば、戻れる日を待っている家族もいる中、子どもの教育も課題になってきていて、オンライン教育の準備を始めた支援者もいるそうです。
 戦火を逃れてきた子どもたちは、精神的にも傷ついています。悲惨な状況を知らせないようにしようとしても、爆撃音の中で暮らし、テレビからは戦争のニュースが流れる日々を過ごし、何十時間もかけて故郷を離れた経験は、子どもたちの心を深く傷つけました。ある7才の子どもは、インタビューに対して「僕は生きるためにここに来ました」と答えたそうです。
 JCFは緊急救援が終わったのちも、第一次医療を整えるための支援が必要になるだろうと考えています。