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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/08/23

【街の灯トーク#6】コロナ禍で追いつめられる子どもたち⑥


マイノリティの子どもの声を聴くプロジェクト

甲斐田 では、アーユスの『街の灯』事業で、どんな活動をしたいのかについて、お話ししたいと思います。
 マイノリティの子どもたちのように追い詰められている子どもたちの声をたくさん聞き、そして子どもたちに関わるスタッフの声をきいて、どうしたら子どもたちが権利侵害を避けられるのかを考えるのがこの事業の目的です。子どもたちやスタッフと対策を考えて、教育委員会や行政、メディア、社会全体に発信していきたいと考えています。
 達成目標は、「見過ごされてきた」マイノリティの子どもたちが、子どもの権利についてあるいは自分を守る方法を知り、子どもたち自身がアクションを起こせるようになることです。子どもたちだけでなく、責務履行者である大人自身、自治体・学校関係者・子ども支援に関わる人たちが、子どもの権利に基づいてそういった問題に介入する、解決していけるようになることを目指します。
 具体的には、どんな大変なときでも子どもたちの声を聴くのが大切だという重要性を訴えること、そして、子どもたちに関わるスタッフに子どもの権利をしっかり伝える、特にマイノリティの子どもたちにはこれだけ特別な権利があるのだということを伝えて、その視点を活動に盛り込んでいくこと。そして、子どもたちからじっくりと話を聴く場を設けて、子どもたちが何を望んでいるかをいっしょに考えていきたいと思っています。
 そのためにも、子どもたちが安心して意見を言える居場所をつくること、居場所が難しければオンラインでも設けることの重要性を訴えていきたいと思います。そして、居場所だけでなく、学校自体がマイノリティの子どもも安心できる場になることも訴えていきたいです。そのためにもマイノリティの子どもたちをネガティブにとらえられるのではなく、困難を乗り越えてきた、あるいは、ダブルの文化を持った豊かな存在であるという肯定的なメッセージをどんどん発信していくことが大事だと思っています。
 そして、子どもたち自身が社会の問題点を話し合うことで、エンパワーされるということも発信したいと思います。特に、教員や保護者に、子どもの権利や正しいLGBTQの知識を伝え、誤解に基づいた発言で子どもたちを苦しめることのないようにしていきたいと思います。
 国連ではコロナ禍の子どもに関してこれだけたくさんの声明が発表されているにもかかわらず、日本政府はなかなか動かないので、代わりに私たちが発信し、教員や自治体の人たちに変化をもたらしたいと考えているのです。岡山県の県議会の人は、私たちの話を聞いてくださったことにより、LGBTQの子どもへの理解を深めるための活動を始めました。そのためにも、関わっているたくさんの団体がありますので、共同で声を大きくすることが大切と思っています。
 私は「広げよう、子どもの権利条約キャンペーン」というネットワークの共同代表もしていますが、多くの団体と共同で大きな声をあげていきたいと思いますし、要望書を出しているところもたくさんあるので、子どもの権利に基づいて子どもの声を聴くべきということを伝えていけたらと思っています。
 「子ども条例」は各地で広がっていますが、全国レベルにおける子どもの権利基本法もぜひつくってほしいという機運が高まっていますし、子どもアドボケイトの要請も始まっています。これらの動きが早く実現することによって、「子どもが発信していたのに、それが聞いてもらえなかった」というようなことがないように、野田市の心愛ちゃんのような事件が二度と起こらないように、子どもの声を社会を変える力にすることで、子どもが誰一人置き去りにされないような社会をつくっていきたいと考えております。

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