平和人権/アジア
平和人権/アジア2023/12/27ツイート
子どもたちが「ワクワクできる」未来を目指して
アーユスも長年参加している「南北コリアと日本のともだち展」が、今年もオンラインでも見ることのできる「ともだち展ぷらす2023」として11月1日から12月10日まで開催されました。
またその一環として、11月10日にはオンラインでのトーク「いまこそ平和を考える」、11月25日には対面企画「ともだち展の日」が開催されました。
「ともだち展の日」の会場となった東京・青山のウェスレーセンターには、当日一日だけでしたが「わたしのワクワク体験」のテーマで描かれた日本・韓国・朝鮮・中国の子どもたちの作品の一部(約70点)が展示されました。
コロナ禍を経て久しぶりに開放感を味わった子どもたちからの「夏休みに旅行ができた」「みんなで行ったキャンプが楽しかった」「ダンスのレッスンを再開した」といったうれしそうな声が届く作品、「野球でホームラン打ったよ」「お菓子づくりはワクワク」「W杯で逆転をした瞬間をテレビで見て感動しました」という日常のドキドキを思い出させるものまで、見ている側も楽しくなる作品が並びました。
朝早くから展示を手伝ってくださったボランティアのみなさんも、「オンラインで見るのとは全然ちがう」「子どもたちの絵はやっぱりとてもかわいい」と、実物の絵を楽しみながら飾り付けを考えてくださり、一日だけではもったいないようなすてきな空間ができました。
この日の夕方から、会場では二部構成での「あつまれ!ともだち展のなかまたち」がおこなわれました。
前半では、今年の「ともだち展」の取り組みをみなさんにご報告しました。
コロナ禍前まで続けていた、海外での絵画ワークショップや訪問はできなかったものの、郵送やデータで変わらず作品は届いていて、東アジアの友人たちと繋がりたいという子どもたちの明るい姿を絵の先に見ることができます。これも、この「ともだち展」のことをていねいに子どもたちに説明し、絵をいっしょに描こうとしてくれる先生方、大人たちの熱心な協力があってのこと。これは、本当に簡単なことではないのです。
実は、この「ともだち展の日」の時点でピョンヤンからの今年度の新しい作品は届いていませんでした。しかしそのあと、ほどなくしてやっと作品データが届き、ピョンヤンの先生方にも子どもたちも5年ちかく会っていないのに、この「ともだち展」の企画を楽しみに作品を準備してくれていたことがわかりました。(12月10日の終了まで、短期間でしたがオンライン展示もできました)
日本各地の協力者の皆さんも同様です。今回は、毎年展示会を実施してくださっている、福岡・さいたま・大阪の実行委員会の方からのメッセージや発表があり、それぞれ地域の特性を活かした取り組みがされていることを改めて来場者のみなさんに知っていただく良い機会になりました。
さらに、11月はじめにロサンゼルスにて開催され、ともだち展の事務局も出張して参加した絵画展「Drawing Hope」の様子を事務局から写真を交えて報告しました。この絵画展は、韓国のパートナー団体がアメリカNGOとともに主催した初の企画ですが、ここに「ともだち展」の絵も出張して展示されてたのです。アメリカにも、北朝鮮への人道支援に長年取り組んできたNGOの人たちがいること、コリアンアメリカンの方々をはじめとして朝鮮半島そして東アジアの平和を願う仲間がいることも、あらためてお伝えできました。
後半は、これまで絵画交流やピョンヤン訪問など、「ともだち展」を通じて実際に交流した経験を持つ「卒業生」たちの時間でした。いま、大学生や社会人としてそれぞれに過ごしている日本在住の仲間たちが近況を報告しあい、当時の経験を振り返りました。その場に来られなかったメンバーからはビデオメッセージが届くなど、バラエティに富んだ時間になりました。ともだち展は毎年行われていても、参加した年が違うとお互いに知り合う機会がないなかで、同じ経験を共有する仲間たちが出会う貴重な場を、「卒業生」たち自身が企画してくれました。
子どものころの記憶はおぼろげでも、楽しかった、ワクワクした、ドキドキした、そんな感情が残っていて、そうした経験を後輩たちにもしてほしい、自分たちもまた企画をすることで楽しみたい、そんな「新しい出発」を感じる時間でもありました。
大人たちの世界に目を転じれば、日米韓の同盟強化といったことから、別の分断が生み出される危うい状況が起こっています。また、昨今起きている戦争を見ていると、「顔の見えない相手」だからこそどんなにひどい攻撃してもかまわない、という考えから悲惨な状況が生まれているように見えて、本当にやりきれない思いが募ります。
そんななかでともだち展ができることは、地道に「顔の見える相手」を増やしていくこと。子どもたちが友人を思いやり、安心してともにワクワクできるような世界を実現していくために、来年こそは実際に往来する機会が訪れることを願っています。(〒)