平和人権/アジア
平和人権/アジア2019/02/25ツイート
東京で18回目の「南北コリアと日本のともだち展」
18回目となる東京での「南北コリアと日本のともだち展」を、2019年2月8日から10日まで、千代田区のアーツ千代田3331にて開催しました。このイベントは、アーユスを含め9団体が実行委員会を構成して実施しています。
2018年度も朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)、大韓民国(韓国)、中華人民共和国(中国)のパートナーが子どもたちを繋いでくれ、日本でも福岡や大阪、山梨など、ともだち展でご縁の繋がった地域から出品いただき、160点あまりが集まりました。
今回のテーマは「わたしのまち、あなたのまち」。2018年は平昌オリンピック、板門店やピョンヤンでの南北首脳会談、米朝首脳会談と対話の機会が重ねられ、攻撃や制裁の対象といった個々人の顔が見えない関係が、少しずつ変化してきました。
実際この一年、ともだち展で各地を巡っていても、人びとの表情が和らぎ、特に南北間では「近い将来行くことができるかも」という期待を抱いていることを感じてきました。しかしまだ、容易には行き来ができないなかで、自分たちの生活の場を絵に込めて送ってほしい、いつか自由に往来できる日をイメージしてほしいと願って設定したものです。
人びとの暮らしとともに、まちも日々変化しています。新しいタワーや高層ビル、アパートなど、新しい名所が生まれているのは、日本も朝鮮も同じ。大人にとってはおなじみのモニュメントがあまり描かれない子どもたちの視点からみた「まち」には、新しい発見があります。一方で、自然あふれる田園風景や変わらない美しい山河が描かれている作品、まちの売店やいつも遊んでいる公園、家からながめる夕日といった身近な風景には、ほっとさせられます。そして、多くの絵に「あなたのまちにもありますか?」「今度、わたしのまちに、ぜひ見にきてください」といった観覧者に向けたメッセージが添えられているのも、ともだち展ならでは。東京にかぎらず、多くの地域でたくさんの方に見てほしい作品がたくさんです。
また、共同制作「わたしのまちにおいでよ!」では、各地で子どもたちが集まり制作にとりくんだ作品を、壁一面に展示しました。朝鮮のピョンヤン、中国の延吉、韓国からはソウルや慶州・済州などの名所が揃いましたが、この「まち」も新たな名所が加わったり、「まち」を訪れる子どもたちの姿が増えていったり、と成長していくことでしょう。そうした変化を共有し、子どもたちが「東アジアの一員、ともに育つなかま」と感じられる空間をこれからも提供していきたいと思っています。
開催期間中は、子ども向けのワークショップ「わたしのまちにおいでよ!」や、一般向けのギャラリートーク「大学生がひらく東アジアの未来」が行われました。ギャラリートークは今年も立ち見がでる盛況で、8月に朝鮮を訪問した大学生6名と目加田説子さん(中央大学教授)が登壇しました。初訪朝の体験談に加えて、日本に戻ってから新たに見えてきたもの、抱えている葛藤や課題を率直に語る学生たちの姿に、来場者から「未来への希望を感じた」「日朝をつなぐ働きができたら、という思いを成就させてほしい」といった感想が寄せられました。
子どもたちが隣人と知り合うための第一歩を踏み出す絵画展、大学生たちが学びを深める交流…そうした姿を目のあたりにすると、昨今の日本における排外的な空気や、目先の状況にとらわれて過去や未来を見失っている現状を深く省みさせられます。私たちがどんな「未来」を望むのか、それは決して対立や排斥、武力の行使ではないということを共有する場として、ともだち展がさらにいろいろな場所で開かれるようになればと思います。
このあと「ともだち展」は、3月8日から10日まで、大阪国際交流センターにて開催されます。ぜひご来場ください。(〒)