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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2014/02/13

バングラデシュでの非感染性疾患リスク低減の取り組みを聞く


 昨日、アーユスが組織強化の支援をしているアジア砒素ネットワーク(AAN)のバングラデシュ非感染性疾患リスク低減事業の報告&意見交換会が行われました。AANはバングラデシュで砒素汚染に苦しむ人たちに対する安全な水の供給を進めていますが、それと並行して非感染性疾患(いわゆる生活習慣病など)の問題に砒素中毒の課題を絡めた複合対策をモデル化し提案することをめざしています。

 バングラデシュの農村部でも食生活のバランスが崩れており、油や塩分の摂りすぎや夜遅くに食事を取る習慣から、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、癌になる人の割合が増えています。しかも砒素に汚染された飲料水を使わざるを得ない状況があるほか、男性のほとんどが喫煙するなど、非感染性疾患にかかる危険性が高くなっています。こうした中で、AANは住民への啓発活動やキャンペーンを行うことで、地元の保健医療従事者や宗教的指導者等から構成されたの社会支援グループと連携して、住民に分かりやすい健康情報の提供や健康について知識や理解を深める活動を展開しています。

 昨日は上記の活動の報告が行われた他、参加者が身近な事例から健康を阻害する要因を考えて、その解決策を考えつつAANがフィールドでこうすればいいというような提言をまとめる作業を行いました。議論の中で浮かび上がってきたのは、日本では巷に健康情報があふれ、健康によいサプリメントの広告などが氾濫しているにも関わらず、自分の身体のこと、病気のことをあまりにも知らなすぎるのではないかということ。何か健康にいいことを少しやったらそれで満足してしまうのではないか。自分の健康が阻害されている要因をしっかりと見つめるのを怠っているのではないか、との意見が出ました。日本で生活習慣病が広がっている現状及びその対策などの経験をバングラデシュに伝えていくことの大切さも指摘されました。

 水問題にせよ健康問題にせよ、AANはとかく専門的で分かりづらい海外での技術支援や保健医療支援をより分かりやすく、自分たちの問題に置き換えて考えていこうという視点で日本国内での啓発活動に力を入れています。こうした工夫によって、遠い海外での出来事をより身近な問題としてとらえられるようになり、海外と自分とのつながりを考えるきっかけにもなるでしょう。AANのこうした取り組みはますます注目されます。

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