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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2013/01/29

1/15 アダム・ケラー講演会に参加しました


 以前からイスラエルの平和運動はどうなっているのか興味があったため、イスラエルのジャーナリスト・平和活動家で、平和団体「グーシュ・シャローム」のスポークスマンでもあるアダム・ケラーさんの講演会に参加しました。

 まず踏まえなければならないのは、ケラーさんの両親の世代からずっとイスラエルとパレスチナの戦いが続いているという事実。ただ、解決への方法は必ずあって、その前提として双方が民族としての権利が尊重されるべきと強調されました。

「グーシュ・シャローム」の主な活動は3つあります。

一つ目は、ネットや新聞などに活動の様子を載せる広報・啓発活動。ただ、イスラエル社会全体が右傾化している中で、自分たちの主張がなかなか社会に伝わらないというジレンマを抱えています。

二つ目は、イスラエル人ボランティアがパレスチナ人のオリーブ畑に入って一緒に作業することで、イスラエル人に土地を奪わせないという行動です。イスラエルの入植者が武力をちらつかせながらオリーブの木を奪い、自分の土地を増やしていくことが一般的に行われていますが、同じイスラエル人がいるとそれがしづらくなるという経験則に従って、9〜12月の収穫時期にイスラエル人ボランティアを送り込む活動が行われています。

三つ目は、兵役拒否の活動です。イスラエルの国家への忠誠を誓うものの、パレスチナ人を抑圧することは兵役に反するとの理由で兵役に就くことを拒むそうです。その結果、牢獄に入れられているケースが起きています。

1993 年にオスロ合意がなされ、イスラエルとパレスチナの双方で平和を支持する声が高まりましたが、平和協定の締結に至らず、ラヴィン首相の暗殺がオスロ合意を 瓦解させる決定的な要因となりました。20年後のいま、イスラエルの入植地はさらに広がり、パレスチナ人の農地は奪われ、占領や経済封鎖が一層厳しくなっ ています。

こうした状況を招いた最大の原因は、双方が「相手が平和を望んでいない」と応酬しあうばかりで、解決の糸口を見出そうとしないこ とのようです。憎しみが憎しみを呼ぶ悪循環が広がっています。ケラーさんは、まず南アフリカの実例を参考に、「平和と和解委員会」を設け、双方が真実を語り合い、互いの過ちを許し、和解への一歩を踏み出すことが重要だと述べました。さらに、国際世論がイスラエル政府に強硬な姿勢を改めさせ、平和を結ぶ政府が生まれるように圧力をかけ続けることが大切だと強調されました。