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平和人権/アジア

平和人権/アジア2020/12/25

【街の灯トーク#9】コロナ禍のフィリピン、大都会の陰に暮らす子どもたちの未来⑤


普遍的な問題に取り組み続けるために

寺西 では、参加者の皆さんから質問を受けていきたいと思います。

「ご自身が支援をするなかで危険な目に遭ったことはありますか。働く女性として危機管理など気をつけていらっしゃることはありますか」。

西坂 基本は日本で勤務しているので、個人的に危険な目に遭ったことはありません。ただ海外に行く時、事業地に行く時はなるべく目立たないようにするとか、そういう危機管理はしています。

寺西 「長期保護施設の写真をお見せいただきましたが、そこに入るには子どもが希望するのですか。施設に入らず路上生活を選ぶ子どもたちに薦めるのでしょうか」。

西坂 特に薦めるわけではないです。子どもたちを勝手に施設に連れてくると誘拐になってしまうので、そういうことはしません。基本的に子どもの意思が大事だと思っていて、たとえば家庭内暴力を受けていても子どもたちは親が好きなんですよね、なのでまずは子どもたちが親と和解できるようにします。それが難しいとか、ほんとに身寄りのない子を施設に受け入れるプロセスになっています。

 あと短期保護施設という別の政府の機関などがあって、そういうところに保護された子どもたちがその後の行き場がない、親がいないということがあり、そういう状況の子を受け入れることもあります。

寺西 次の質問です。
「先ほど登録されていない子どもたちへの公的支援がほとんどないというお話でしたが、NGO同士の支援の調整とか、そういうのはどうされていますか。受益者の数とか、どういう背景があるのかをどうやって把握されていますか」。

西坂 アイキャンの事業地では路上に暮らす子どもたちのいる地域がいくつかに分かれているのですが、その地域ではアイキャンしか活動していないと思います。子どもたちからも他の団体から支援を受けることもないし、アイキャンが唯一、食料をくれる存在だと言われているので、同じエリアで他の団体と被っていることはないですね。

寺西 同じような活動をしているローカルNGOは多いのではないですか。地域によって活動地が分かれているのでしょうか。

西坂 そうだと思います。

寺西 「政府は、問題をどうやって解決しようとしているのですか」。

西坂 私も聞きたいくらいです(笑)。ドゥテルテ大統領は低所得者に対する支援に力をいれているのですが、それも統計に表れる人たちに対するものなので、今回も低所得者には月々の現金給付があったのですが、それも受け取るができない人々がいて、そういう人たちへの対応は政府がどうしようとしているかは、考えられていない部分です。そこに光を当てていくために、地域の声を聞ける人やNGOが上にあげていかないといけないと思っています。

寺西 昨日今日始まった問題ではないですから、公的なところに頑張ってもらうために、アイキャンさんにもアドボカシーを期待したいところです。

 最後の質問です。「長期施設は政府から認可を受けたものですが、入所は福祉局に届けているのですか。そのあと、子どもたちがどういうふうに過ごしているのか、報告の義務があるのでしょうか。公的な支援は施設に対してあるのでしょうか」。

西坂 社会福祉省を介してやりとりをするので、許可というかそれを受けた上で手続きを経て入所するようになっています。ただその後の財政的な支援があるかというとそれはなくて、運営は資金的な部分でも大変であります。

寺西 活動をしっかり続けていくために、財政的な面でも支えられる仕組みができていくといいですね。

西坂 もともと路上事業というのは資金が枯渇しやすい部分でもあって、なかなか厳しいです。災害や紛争など突発的に起きたことには支援が集まりやすいのですが、こういう普遍的なこと、貧困など変わらず、ずっとあるものへの資金は集まりづらくなっていると感じます。食料配付も今後継続して行うには難しい部分がありながら、続けないと子どもたちの命を守れないので、今後その面からも頑張っていきたいと思います。

寺西 長く続いてきた問題だからこそ、関心を寄せ続けていくことは本当に必要とされていると思います。本日はお話を有難うございました。

 

 


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