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平和人権/アジア

平和人権/アジア2020/07/01

【街の灯トーク#2】より厳しい人たちへ届くように〜南アジアでの経験から〜③


職を失い食を失った人たちへの食料支援

寺西 では、活動のことをお聞かせ願えますか。

勝井 さっき言った洪水防災をおこなっている平野部のマディ市の様子です。

寺西 お、ネパールからの中継がちょうど固まってしまいましたね。マディは、インドに近い国境地域でしたか?小松さん。

小松 そうですね。チトワン郡にあるマディという街で、ここで洪水対策事業をやっています。今回のことで我々の活動地では、特に日雇い労働者であるとか、普段から経済的に厳しい状況にある人たちの生活が苦しくなっています。日雇い労働の人たち、建設現場あるいはものを運ぶなどの肉体労働で日銭を稼いで暮らしていた人たちが、ロックダウンが2ヶ月以上継続する中でほとんど仕事がなくなり、収入を得る手段がなくなってしまって困窮世帯がたくさん出ました。
 それに対応するために、ネパール政府も各自治体になんらかの対応をするようにと指示を出して、もちろん各自治体対応したのですが、それだけでは十分ではなく手が届かないところがあります。それで、ここで活動するNGOとして、私たちにも現地のNGOや行政からも手伝ってくれないかと要請があり、現地のNGOを通じて食料配布を行いました。

寺西 なるほど、食料配布は自治体の人から声がかかったわけですね。ここでは何年くらい活動が続いているんですか。ネパールでの地震(2015年)以降ですか。

小松 地震より前ですね。チトワン郡での活動は10年以上、郡内でいくつかの地域で活動してきていて、マディでの活動は何年になるのかな。

勝井 10年くらいになる。

寺西 復活しましたね、遠くからありがとうございます(笑)。けっこう長く活動されているんですね。マディで、そういう信頼関係があったからこそ、すぐに動けるし、お願いもされたとのでしょう。食料は、二回にわたって配給されたんですね。

勝井 はい、4月上旬に。

寺西 対象者の方は、どうやって選ばれたのですか。

勝井 自治体、市、その下に区があってそこが困窮世帯をリスト化しています。それらの人たちは、要するに、それまでカトマンズや地方都市で働いていたんだけど、ロックダウンをしたために頑張って歩いて帰ってきた人たちなんです。

寺西 歩いてですか!

勝井 交通機関が止まっちゃったので。
 帰ってきた人たちは、実家があったとしても日々の食料がありません。他には、もともとマディ市にいたひとり親の世帯や、障害者がいる世帯が選ばれています。

寺西 なるほど。行政がそういうところを把握しているのが素晴らしいですね。

勝井 毎回調べ直していますが。

寺西 (笑)重要なお仕事ですからね、そうやって把握されているのは素晴らしいと思います。ここの地域の人たちの声は、すでに聞かれましたか。

勝井 直接は聞いていませんが、早くされたことについて感謝というか、ほっとしたという話を聞いています。

寺西 そうですよね、地元に帰ってきたのに食べ物が手に入らないというのは、一番厳しいですからね。すごく早く対応されたのは本当によかったと思います。それで、今はそこでの活動はどうされているんでしょう。

勝井 ロックダウンが始まってから、人が集まることや外に出ること、全てできなくなったのですが、ネパール政府から建設事業などいくつかの業務について開始していいという許可がでました。それに合わせて、5月17日から建設の作業は始めています。もちろん感染症も危険ではありますが、ここの住民たちは、本格化する雨期を前に、氾濫が起きるとわかっている洪水の対策をとにかく早くして欲しいのです。そういう要望が住民からも行政からもあったので、行政と安全対策をとって協力しながら5月17日から建設作業だけは始めました。

寺西 日本でもこんなときに大きな地震が起きたらどうしようか、という心配がありましたが、そういう複合的なことが起きると、避難先で感染が広がることも考えられるので、通常すべきことが進められるようになって、本当によかったと思います。早く終わるといいですね。今後はどうでしょうか、ロックダウン解除が待ち遠しいけれど、その一方で不安もあありますか?

勝井 インドから帰れなかったネパール人が、50万人ほどいると言われています。そういう人たちが、まさに「怒涛」のように過去2週間ほどで17万人近く帰ってきています。
 さらに明日からは、中東などで出稼ぎしていた人たちも帰ってくる予定です。それがだいたい4万人くらいとのこと。そういった人たちを適切に検査して、必要な隔離をしないと増えることがわかっているので、今お見せしている写真のように、マディの中でも学校などを使って9つの隔離施設を用意しています。マディ市は3週間滞在と言っていて、6月2日時点で帰国した180人がここにいます。昨日(6月8日)の時点で、ここから6名の感染が確認されて病院へ移送されました。まだ180名なのでなんとか機能していますが、学校にはもともとトイレが多くないとか、マスクやグローブがネパールではまだまだ足りないと言われています。マディ市は全部で1000人くらい帰ってくると言われていますが、1000人分の食料を用意できるかどうかも課題としてあげられています。
 他のもっとたくさんの人たちが帰ってきた地域では、建物の中に収まりきらず、木の下など野ざらしで寝ないといけない、食事も十分にできていないという情報が入ってくるので、なんとかマディはそうならないようにしたいと思っています。

寺西 ありがとうございます。これからも継続でやらないといけない部分が出てきそうですね。

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