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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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平和人権/アジア

平和人権/アジア2020/07/01

【街の灯トーク#2】より厳しい人たちへ届くように〜南アジアでの経験から〜①


より厳しい人たちへ届くように〜南アジアでの経験から〜

ゲスト:勝井裕美さん(シャプラニール=市民による海外協力の会事務局長)・小松豊明さん(シャプラニール=市民による海外協力の会ネパール事務所長)/ 聞き手:寺西澄子(アーユス仏教国際協力ネットワーク)
とき:2020年6月9日(火)


寺西 こんばんは。アーユスの『街の灯』支援特別枠で応援している団体の方をゲストにお招きして毎週お話を伺う『街の灯』トーク、今日は南アジアで長年活動してきた「シャプラニール=市民による海外協力の会」のお二方をお招きしました。
 まず、シャプラニールで事務局長を務めていらっしゃる小松豊明さん。

小松 よろしくお願いします。

寺西 もうひと方、ネパールから、ネパール事務所長の勝井裕美さんです。こんばんは。というか、今そちらは何時ですか。

勝井 いま、夕方の4時50分です。よろしくお願いいたします。

寺西 では、小松さんからシャプラニールの団体紹介からお願いします。

小松 はい。シャプラニールは、南アジアのバングラデシュとネパールの二カ国に駐在事務所をおいて活動しています。バングラデシュが独立した1971年の直後から活動を始め、「睡蓮の家」というベンガル語の団体名がついています。
 東京事務所を含め、全体で日本人17名、バングラデシュ、ネパールそれぞれに現地スタッフがいて、それに加えて、プロジェクト毎に現地のNGOがパートナー団体として一緒に活動をしているので、それらのスタッフをあわせると全体で100人くらいの規模になります。
 シャプラニールのミッションは、南アジアに特化して貧困のない社会を実現することです。全ての人々が豊かな可能性を持って生まれくる、その可能性が、社会的、経済的いろいろな制約で実現できないことを「貧困」と捉え、その制約を取り除き、みんながもっている豊かな可能性が実現できる社会を目指しています。特に最近は「誰も取り残さない社会を作らない、誰も取り残さない」をスローガンに活動しています。
 具体的には三つの柱があります。ひとつは「子どもの権利を守ろう」。児童労働をなくし、教育のギャップをなくすことです。次は「災害に強い地域を作ろう」と防災の取り組みにも力をいれています。3つ目は「フェアトレード」で、現地の生産者の生活をよくすること。これら三つの活動を通じて南アジア、あるいは日本でも貧困のない社会を目指しています。

寺西 そんななか、『街の灯』支援事業に応募いただいたのが、ネパールの貧困層を対象にした食料配付と、コミュニティラジオを通してCOVIDに関する情報発信のキャンペーンでした。まず、食料配付についてネパールの勝井さんからお話を伺います。そもそも、勝井さんは、今どちらにお住まいなんですか。

ロックダウンのネパールから

勝井 ネパールの首都のカトマンズがあるカトマンズ盆地の中でもちょっと南にあるラリトプールという、いわゆる都市部に住んでおります。

寺西 活動地はどちらですか。

勝井 チトワンというネパールの南部、インドとの国境に接している平野部で河の洪水の防災事業を行っています。

寺西 今はそちらの方には出向けないんでしょうか。

勝井 基本的に車両の運行は禁止されています。少なくとも郡は越えられません。歩くにしても、日本でいえば町内会くらいの範囲しか動けません。

寺西 なるほど。ネパールでのCOVIDの状況はいかがですか。

©シャプラニール=市民による海外協力の会

勝井 このスライドにはCOVID-19の陽性者数と、ネパール政府がコロナ対策として行ってきた水際対策の内容が書いてあります。ネパールが、いわゆるロックダウンをしたのが3月24日。その時に判明している陽性者は2人だけでした。ですからけっこう早くに対応を始めたといえます。それは、インドの数字をみてもらうと、3月24日に434名となっています。世界的にもインドは人口が多いので、この時点でこれからどんどん増えるだろうと言われていました。私たちの事業地がインドと国境を接していると言いましたが、そこはフリーボーダーといって、普段からパスポートがなくても出入りができるんですね。実際にネパールからインドへの出稼ぎ労働者は多く、急いでロックダウンに踏み切りました。そのあと踏ん張ってあまり増えずにきたのですが、5月下旬からぐんぐん伸びてしまって、今日(6月9日時点)の感染者数は三百数十名、合計4,085名になっています。ここ一週間から10日間くらい、1日に300人くらいずつ増えている状態です。

寺西 ロックダウンをしているのに、なぜ増えているんでしょうか。

勝井 ひとつは、最初の頃は検査数が少なかったのが、最近ではきちんと検査ができているというのがあります。またインドが厳しいロックダウンをしたため、ネパールからの出稼ぎ労働者は仕事がなくなり国境に殺到しました。公式には国境は封鎖されていますが、実際には警察や軍が配備された後も、その目を盗んで帰って来る方がいて、帰ってきた方は罰せられるのが嫌で隔離施設にいかないということが残念ながらあるんです。加えて、実際には何百人かずつ入国を認めていたというのがあります。もともと感染していなくても国境沿いがとても混雑していたために、もしかしたら、そこで感染が広まったかもしれない。それで帰ってきた人が隔離施設にいた場合でもいなかった場合でも、拡大した可能性があります。

寺西 隔離施設には、どのくらいいるのですか。

勝井 ネパール政府の発表によると、17万人くらいが隔離施設にいます。

寺西 すごい人数だ、収容施設の管理も大変ですね。

 

 


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