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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2026/04/23

戦闘下のスーダンで、4000人を飢餓から守った農業支援


2026年4月、スーダンで戦闘が始まって3年が経ちました。「世界最悪の人道危機」とも呼ばれ、いまだに1000万人以上が避難を余儀なくされています。この間、南コルドファン州のカドグリは、武装勢力の包囲により「壊滅的飢餓」の状態に。現地で長く活動を続ける日本国際ボランティアセンター(JVC)からの要請を受け、アーユスは時局対応支援として、2025年1月から現地で緊急に農作物の種子を配布する活動に協力しました。JVCからの報告です。


戦闘により農業地帯に飢餓が

2023年4月、スーダン共和国全土で激しい軍事衝突が勃発。国連などの報告によると、2024年10月時点で15,000人以上が亡くなり、国内外に1000万人以上が避難する事態となりました。
南コルドファン州では、多くの人々は農業を生業としています。しかし紛争の影響もあって収穫量と収入は激減。人々は生き延びるために種子さえ売り払い、次の作付けもできない状況に。州都カドグリ周辺では戦闘が激しく、幹線道路が封鎖され、食料や生活物資がほとんど届かない状態が続きました。物価も高騰し、多くの家庭で一日一食がやっと。国連はカドグリが飢餓状態にあると発表。子どもたちの栄養不足は深刻で、朝から何も食べていない、子どもに食べさせるものがない、という訴えがあふれました。
長年カドグリで活動していたJVCは、こうした状況を受け、住民の自給自足を支えることができるよう緊急に農業支援を実施しました。

400世帯に種子を配付

種子を受け取った住民たち

支援の中心は、農作物の種子と苗の配布、そして正しい栽培方法を学ぶ菜園研修です。種子は、栄養価が高く栽培もしやすい、地域の気候風土に合わせて適応した在来種のソルガム、ピーナツ、ササゲ、オクラの4種類を選びました。配付の対象としたのは、世帯の大黒柱が高齢であったり、子どものいる世帯で母親が未亡人であるなど、とくに困難な状況に直面している世帯です。

 

配布した種子を栽培中の畑の様子

菜園研修では農法や保管方法などを伝えたほか、持続可能な自給自足を確保するために、収穫物の一部を販売して、残りを自家用や次の栽培季節のために種子を残すことの重要性も強調しました。参加者から自由に専門家に質問する時間もとり、貴重な情報の共有がなされました。

ガルドゥード、タファリ、メルキーカ、ハジャラマックの4地域で合計400世帯に種子を届け、751人が研修に参加しました。研修後は各地区に3回に渡ってJVCの現地スタッフが訪問し、フォローアップを行いました。

収穫に成功! 1日1食から脱却

収穫できたソルガムを下ごしらえする住民

収穫の時期が終わり、JVCのスタッフが視察に訪れたところ、支援前は種子を購入できず耕作自体ができなかった世帯もありましたが、支援したすべての世帯で配布された種子を栽培し、収穫に成功しました 。ほとんどの家庭で一日一食がやっとだったのが、話をうかがった23世帯中19世帯が一日に2~3食に増えたと答えています。また、一部を市場で販売し、生活費や医療費に充てることができるようになった家庭もあります。困っているほかの世帯に分けたという声も聞かれました。そしてほとんどの世帯で、次の農業シーズンのために種子を保存し、持続的な食糧確保ができるようになっていました。

今回の支援により、400世帯(約4,000人)の住民が、最も厳しい時期を乗り越え、生活の安定に向けた重要な一歩を踏み出すことができました。

 

「1日3食食べ、備蓄も十分できるように」
アーイシャ・アフマドさん

私は8人家族で幼児が2人います。いまは収穫した作物で1日3食食べられるようになり、備蓄も十分できています。収穫した作物を調理して市場や近所で販売し、安定した収入を得て、砂糖や石けんなどを買ったり、家族の通院費用までまかなえるようになりました。来年のために、種子も保存しています。

「研修のおかげですべての作物を収穫できました」
サバーフ・ダウ―ドさん

私は12人家族で、子どもが7人います。種子を栽培中に害虫が発生しましたが、研修で学んだ方法で駆除できました。種子の質は良く、全種類、収穫することができました。1日に1食だったのが、今では2食に。一部は市場で販売し、得た収入は生活必需品や医療費に充てています。

いまだ予断を許さない情勢

しかし、収穫後の訪問の直後に、カドグリ周辺まで武装勢力が迫り、さらに情勢が悪化。JVCカドグリ事務所も一時的に閉鎖を余儀なくされ、現地職員も緊急退避する事態となりました。カドグリの包囲は2026年2月に解除されましたが、依然として予断を許しません。


激しい戦闘が続くスーダンで、400世帯の方々が飢餓を逃れ、農業を継続できる見込みを持てました。予断を許さない状況の中、JVCは支援活動を続けています。アーユスも、今後も刻々と変化する情勢を注視してまいります。

事業名: スーダン南コルドファン州大規模戦闘下での緊急種子配布による食料安全保障
実施団体:特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)