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その他の地域2020/09/08ツイート
【街の灯トーク#7】カフェ再開を目指して〜命をつないだ食料支援②
シングルマザーの自立を支える
井上 では、今現在の活動についてお聞かせください。
門田 メインで支援しているのが、シングルマザーの人たちです。本人もHIVに感染していて、夫をエイズで亡くしている。いわゆる貧困層、年収2万円くらいというのが私たちの調査のデータです。
井上 2万円とは現地で生活するのは厳しいレベルですか?平均はどのくらいでしょうか?
門田 例えばウガンダだと、1年生で5千円くらいの教育費がかかります。教育費は無料でも、制服を買う、テストを受ける、学校の修繕費用を収める、などでお金がかかってしまうんです。1人5千円だと、2-3人の子どもがいたらもう年収がなくなるくらいです。私たちの支援している人だと、4-5人くらい子どもがいるのが平均ですね。とても足りません。
井上 PLASさんの支援対象者となるシングルマザーとエイズ孤児は、およそ何人くらいなんですか?
門田 年間で1,000人くらいを支援してきています。2019年度は、ウガンダとケニアで213家庭、856⼈の⼦ども、若者50⼈に⽀援を届けることができました。
大きくふたつプログラムがありまして、ひとつが生計向上。スモールビジネスをして、経済的に自立していくこと。もうひとつ、私たちはライフプランニングと呼んでいるんですが、子どもとお母さんにカウンセリングや研修を提供しています。できるだけこれをセットにして、提供するようにしています。というのも、お金だけ稼げるようになっても、お金をどう使うか、進学させたいけれどどうしたらいいかわからないことが多く、子ども自身も得意な教科がなんで将来こんな仕事がしたい、こう暮らしたいと考える機会がなかなかないので、その場を提供することが大切だからです。
一方で、教育費や医療費がしっかり払えるようにお金も稼ぐ。このセットで活動しています。
井上 どんな単位でやるんですか?一家族では難しいので、何かグループとかがあるんですか?
門田 グループです。今見ていただいている写真が、村で小さなカフェを立ち上げたお母さんたちですが、アーユスさんからのご支援を届けた先も彼女たちです。村で、パンやジュースを売る小さいカフェで、3-4人くらいで始めて、自立していくまでサポートするのが私たちの今の事業です。研修も、ベーカリー研修とかジュース研修だけでなく、パンの値段をいくらにするかを調べたり決めたりするマーケティング研修、帳簿をつけるための会計研修などをおこなって、小さいスタンドカフェから始めます。写真は、さらにステップアップして家を借りてオープンしたカフェで、この前はパラソルを立てて、その下に小さい椅子と机を置いて開業するところから始めました。
井上 ビジネスを始めてみて、売り上げなどは順調に伸びているんですか?
門田 一人数千円くらいは稼げるようになってきていますが、お金が稼げるようになる一方で課題も出てきています。お金を稼いだことがないので、仕事に一生懸命になりすぎるんです。そうすると、子どもが以前よりもさびしがっているという弊害も出たりして。やっぱり、カウンセリングなどで親子関係をみていくことも大切だなと。今はできる限り、すべてのお母さんと子どもにカウンセリングをしたいと思っています。
井上 差別や偏見にさらされて、心の病を抱えている人もいるのですか?
門田 私たちのやっているのは、心理カウンセリングというよりももう少し社会的なものです。保健体育みたいな。子どもの発達って、0-18歳までどう成長していくのか、というようなこと。日本なら小中学校で習うような基本的なことを勉強するチャンスがなかった人が多いので。そこから個別の相談にものっています。
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