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特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

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その他の地域2020/07/14

【街の灯トーク#3】新型コロナで生活困窮に陥る移民・難民①


新型コロナで生活困窮に陥る移民・難民

ゲスト:山岸素子さん(移住者と連帯する全国ネットワーク:移住連)/ 聞き手:井上団(アーユス仏教国際協力ネットワーク)
とき:2020年6月9日(水)

井上 今日は『街の灯』トーク第3回目ということで、移住者と連帯する全国ネットワーク、通称「移住連」の山岸素子さんをゲストとしてお招きしています。どうぞよろしくお願いいたします。

山岸 よろしくお願いします。

井上 ではまず山岸さんから、ご自身や団体の紹介をいただけますでしょうか。

山岸 はい。移住連の事務局長をしております山岸と申します。今回、アーユスさんの『街の灯』支援事業として、移住連の「新型コロナ移民難民緊急支援基金(以下、基金)」へのご支援をいただき、また今回活動を紹介させていただく機会を与えていただいたことに心から感謝しています。
 私自身はいま移住連の事務局長をしていますけれど、もともと外国人、移民支援は1990年代のはじめに大学を卒業したころから始めていて、30年近く経ちます。大学時代は、国際協力系のNGO活動をやっていました。具体的にはフェアトレードを行っている第三世界ショップを学内でつくったり、アジアなど第三世界へ行ったりして、すごく関心があったのでそのままNGOに就職しました。
 1990年代はじめごろまでは、ちょうどバブル期で、日本にはアジア、ラテンアメリカから労働者が30万人働きに来るなど、移住労働者が急増している時期でした。就職したNGOでは、ネットワーク活動を始めたところだったので、それをきっかけに移住連が現在やっているような活動にかかわり始めました。そのあと労働団体やカトリック教会団体、あるいは自分たちで移住女性と子どもの支援の団体をつくるなど、いろいろなかたちで外国人支援の活動と仕事を継続してきました。今でも移住連の事務局長のほか、カトリック教会での活動や女性と子どもの支援も続けています。

難民移住労働者から移住者へ、変わりゆく日本に住む外国ルーツの人たち

山岸 移住連に関しては、もともと1997年に「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」という任意団体として結成され、2015年に「移住者と連帯する全国ネットワーク」というNPO法人になりました。
 先ほどお話ししたように、移住連が発足した90年代はものすごくたくさんの外国人、移住労働者が入ってきた時代で、名称も「移住労働者と連帯する」でしたが、それから10年、20年とたつ間に外国籍の人たちの定住化が進み、問題のすそ野が広がっていきました。例えば、国際結婚で定住する女性や、その間に生まれた外国にルーツのある子どもや若者が増えていきました。また、移住労働者というのも、当初多かった南米から来た日系労働者などに加えて、研修生や技能実習生と言われる人たちのように、いろいろな働き方がでてきました。また一方で、移民排斥や排外主義が広がるなど、さまざまな課題が出てきたために、移住連は名称も変更してNPO法人となり、日本で生活する移民、外国ルーツを持つ人々の人権保障、社会統合政策を含む移民政策を求めて、政策提言と情報提供とネットワークを活動の3つの柱にして取り組んでいます。
 移住連が大切にしている理念は、「移民、外国ルーツの人々の尊厳と権利が保障されて、誰もが排除されずにありのままに生きる社会」ということ。もともと外国人や移民支援の当事者団体や個人が会員となっているネットワーク組織ですので、ネットワーキングを強化しながら、政策提言や情報発信をしています。

井上 ネットワーキングを中心に幅広く移民、難民、外国にルーツを持つ人の権利が保障される取り組みをされているということですが、いま一番気になるのがそういう方々が、新型コロナウィルスでどのような影響を受けているかというところです。その前に、いま日本にどれくらいの外国籍の方々がいるのか、どういう方々なのかということを伺いたいのですが。

山岸 まず、どれくらいの方がいるかですが、法務省が出している在留外国人数のデータがあります。3か月以内の短期滞在の方は除く、日本に中長期で滞在している方の数は293万人、ほぼ300万人を超える数になっていますね。
私が活動に関わり始めた90年代も、すごく増えてきたなという実感があったのですが、その当時は100万人くらいだったので、今はとても多様な人たちが日本のなかに暮らしているといえます。

山岸 外国籍の方というのは、永住する人であっても「永住者」という在留資格を持っていて、この「在留資格」をみていると、どんなかたちで日本に来ているかということがある程度わかります。
 昨年、「深刻な人手不足」への対応として政府が外国人労働者の受け入れを拡大するということで入管法を改定し、社会的にも話題になりました。これまでに働くために来ている外国人というのは、ある程度の技術を持っていて、「就労を目的とする在留資格」を持っている人でした。そのほか、日系労働者の人たちは(「定住者」の在留資格なんですけれど)、ある程度いらっしゃいますし、いま40万人と大きくなっているのが「技能実習生」です。

井上 「技能実習生」は、マスコミでもフォーカスされていますよね。

山岸 あと「留学」の在留資格で来日する外国人も、大学や日本語学校、専門学校で学びながらアルバイトしている方がほとんどで、コンビニや飲食など、日本社会にとって欠かせない労働力の一部を担っています。
 また技能実習の人たちは、いままさに人手不足の分野、例えば建設とか農業とか水産加工や介護等を全体的に支える労働力となっています。また、日本人と結婚して永住者になっている人も多くが働いていて、私が支援してきた移住女性と子ども支援のなかでは、フィリピン女性とのかかわりが多く、工場労働とかサービス産業、お弁当工場とかクリーニング工場、ホテルのベッドメイキング、介護など、ほんとうに職種が限られるなか、非正規雇用・低賃金で働いています。
 もうひとつ触れておきたいのが、今回の基金では、難民の方が多く支援を受けていることです。難民は海外の問題かなと思われそうですが、日本でもたくさんの方が難民申請をしていますし、去年は1万人くらいの方が申請しているうち認定されたのはたったの44人なので、認定率は1%にはるかに及びません。これはあまりにも低い認定率で、驚くべき数ですが、このように多くの方が「難民申請中」というステータスで暮らしているんですよね。

 

 


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