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その他の地域2020/06/12ツイート
【街の灯トーク#1】難民としてコロナ禍の日本に暮らす③
難民としてコロナ禍の日本に暮らす③
不安定な人ほど遠ざけられる公的支援
枝木:ただでさえ、かなり制限された環境で、就労できない方もいて待つだけの方もおられるようですが、そういう方々は、コロナ禍がひどくなっていくなかで、どういうふうに課題が変わってきたのか、もしくは困難が大きくなってきたのかを教えてください。
新島:もともと難民申請者への公的支援というのは、先ほど申し上げたものが唯一なので、ほかに特別に受けられるものがありません。コロナ禍のなかでの難民の人たちの生活というと、もともと在留資格がない状態で難民申請の結果を待っているような方 ―仮放免というのをお聞きになったことがある方もおられると思います― は、そもそも生活する手立てがないので、モスクですとか教会ですとか、宗教施設で知り合った方にお金や食べ物を分けてもらったり、部屋を間借りさせてもらったりですとか、あとは知人 ―深い親友関係にあるというほどではないと思うのですけれど― から、「今日は入管に行くから3千円」とか、「一か月分の食費として5千円もらう」とかいうように、周りの方からの助けを得ながら生活していました。それが、緊急事態宣言が出ている間は、モスクも閉まっていましたし、教会もミサなどを中止していましたし、知人の方々も職を失ったり時短を余儀なくされたりして誰かを助けてあげられるような状況ではなくなってしまって、支援が全く受けられなくなったという相談がありました。
枝木:そういう方々は、コロナに関する情報をどれくらい得られていたのでしょうか。
新島:そうですね、1月後半から2月くらいにかけて、事務所に来られる方にはコロナウィルスのことをお伝えして、手洗いをするようにといったことはお話ししていました。コロナウィルスはグローバルな問題だったので、みなさん母語で情報収集できていたのですが、日本で感染している人がいることはあまりわかっていなくて、「中国の問題なんじゃないの?」とか「ウィルスが来ているとは思わなかった」という声は多く聞かれました。ウィルスそのものについてはわかっていても、日本でどういうことになっているか、どういう予防策がとられようとしているのか、関連施策はどんなものがあるのかなどは情報入手ができないことがわかりました。それで、私たちも2月末から私たちのほうに登録されているメールアドレスのわかる千人の方々に、4回にわけてメール発信をしました。例えば「緊急事態宣言が発令されましたよ」とか、「週末は外出自粛してください」とか、「10万円の給付金があります」とか、4回に分けて発信したところ、かなりリアクションがかえってきて、「知らなかったです」「この情報をもって役所に相談に行きました」なんて声を聞きました。
枝木:そのメールアドレスがあるということは、それまでの相談活動のなかで、連絡先はある程度把握されていたということなんですね。
新島:はいそうです。でも、私たちに登録いただいている方は、この20年で7千人以上もいらっしゃるのですが、少ないといえば少ないのです。これ以外に、私たちのWEBサイトでも発信していこうとは考えているところです。
枝木:話はずれますが、その10万円の特別定額給付金というのは、難民の方も受け取れるのですか。
新島:はい、外国人の方でも、住民登録をされている方は対象になります。難民の方の場合、公的支援のところを見ていただければと思うのですが、先ほど申しましたDカテゴリーに当てはまる方、難民申請してから8か月たってようやく就労許可の申請ができると申し上げました。その8か月間ですが、難民申請したときに在留資格を持っていると、「特定活動」という在留資格を得ることができるのですけれども、8か月ではなく、2か月、2か月、3か月…と小刻みに更新をしないといけないんですね。そうすると在留カードの問題が出てきます。外国人が住民登録をするにあたっては、入管から在留カードを得て、それをもって各自治体に住民登録をしていただくことになるのですが、3か月を超えた在留資格を持っていないと中長期滞在者とみなされず、在留カードが発行されません。3か月までは旅行者のような90日の短期滞在の在留許可と同じで、在留カードは得られないので、実際には通算3か月を超えて日本に滞在していても住民登録ができなくて、就労許可を申請できるようになるまでの8か月は対象外になってしまうんです。
枝木:ということは、いちばん不安定な時期にいる人こそ、定額給付金から外れてしまうということなんですね。
新島:あとは来日直後の方もそうですし、難民申請がいったん不認定で終わってしまって難民申請の再申請に入る人や訴訟中の方は在留資格がなくなってしまうので、もちろん住民登録はできません。その人たちこそ本当に困窮した立場にいるのに、10万円の対象外になってしまうという現状です。
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