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平和人権/アジア

平和人権/アジア2017/10/31

カンボジアの今


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 10月22日は衆院選の日でした。ちょうど台風が日本列島を直撃したおかげもあって、投票率は戦後2番目に低いものに。せっかく、期日前投票が過去最高となったのに、残念なことになりました。
 と、書いている私も、初めて投票に行ったのは30歳を過ぎてから。投票しても何も変わらない、などと偉そうな態度でいたのは、若気の至りと済ましていいのかどうかわかりませんが、政治に無関心であったのは確かなことでした。
 もったいないことです。
 政治家を選ぶ権利があるのに、それを行使しないなんて、価値をわかっていませんでした。
 投票離れがもっと進んでしまった今、政治家を選ぶ権利の大切さを伝えるにはどうしたらよいのでしょうか。そんなことを考える機会が、奇しくも選挙の前日、10月21日にありました。

 「カンボジアのいま」と題されたシンポジウムは、台風が近づく中、都心にある上智大学で、カンボジア市民フォーラムが中心となって開催。カンボジアから招いた、人権や公正な選挙のための活動をしている2人の方に加えて、カンボジアで活動しているNGOや、関係者の方による、活気ある議論が展開された企画です。

 カンボジアは長年にわたり、独裁政権による抑圧や内戦が続いていました。ポル・ポト派が1975年にプノンペンを制圧し、その後都市や文化を破壊し、知識人を初めとして大虐殺をおこなったことは、広く知られています。1979年からはベトナムの傀儡政権による統治となり、それからは政府、ポル・ポト軍、シアヌーク王が率いる軍などによる内戦が続きました。国も民も疲弊し尽くし、ようやく1991年に和平合意が結ばれ、民主的な総選挙が行われたのが1993年。
 それから25年経つ来年、5回目の総選挙が行われます。しかし、近年、与党と野党間の軋轢が高まり、野党の勢いが押さえつけられてきているとか。

 辛く抑圧された時代を経験したカンボジアだからこそ、「民主主義」と「人権」が尊重され、公平な選挙が開かれることが望まれています。しかし、前回の選挙で野党の得票数が与党のそれに接近した頃から、社会の風向きが変わってしまいました。

 カンボジアの復興に、日本は政府もNGOも大きく貢献したと言われています。和平合意が結ばれたあとはもちろん、結ばれる前から人々の暮らしを安定させようと努めきて、保健分野、農業分野、教育分野、そして選挙監視でも功績を残したと言えるでしょう。
 しかし、それもカンボジアが民主的な社会であるからできたことであります。カンボジアの人たちがそれぞれの力を発揮できるためにも、表現の自由や人権の擁護への関心を、今後さらに高めていくことが求められているとも感じました。

 来年、カンボジアで予定されている総選挙に向けて、与党と野党が対等に戦い、人々が望むところを選ぶことができるよう、これからも様々な働きかけが必要となっています。日本のNGOも、現地のNGOや関係者と共に、できることを考え、進めていく予定です。(M)

※このシンポジウムにはアーユスも共催として関わっています。いずれ、もう少しきちんとした報告をNL等でお伝えする予定です。