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平和人権/アジア

平和人権/アジア2024/11/20

在留資格のない子どもたちと高等教育


 日本で暮らす外国人が増えているいま、その子どもたちのなかには高校進学の問題に直面する人が多くいます。なかでも在留資格の認められない仮放免という立場におかれた子どもたちは、義務教育を終えると授業料無償化の対象から外されたり、制服や文房具代、修学旅行費が払えないなど、経済的側面から進学を諦めるケースも多くなっています。また仮放免だと、住んでいる自治体の外に出るにはその都度入国管理局の許可が必要で、部活の練習試合で隣町に行くことすら大変です。こうした高校生の就学を後押しするのが、反貧困ネットワークの「仮放免高校生奨学金プロジェクト」です。

 11月16日に上智大学グローバル・コンサーン研究所が開催したシンポジウム「子どもの権利は、なぜ私たちに 適用されないのですか」では、仮放免で大学や専門学校に通った若者たちが体験を語りました。また、奨学金を受ける高校生を伴走支援している大学生チューターは、「10年以上も日本に暮らしながら、居場所が感じられないのは悲しいこと」「教育は人生を築く土台になるもので、その可能性を摘み取る社会であってはならない」と話しました。

 これまで奨学金支援を受けた41名のうち、9名は在留資格を取得し、そのうち3名は大学や専門学校に進学しました。28名は仮放免のまま高校に通い、4名は在留資格のないまま専門学校に進学しています。

 才能があっても活かすことができないままで日本を離れる人がいては、日本社会にとっても大きな損失です。ここで学び、ともに暮らしたいと希望する人が生きやすい社会は、マジョリティである日本人にとっても豊かな社会になるはずです。