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スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2016/05/30

熱気で満ちあふれていた「市民の伊勢志摩サミット」


 2016年5月26日・27日に開催されたG7伊勢志摩サミットに合わせて、日本内外のNGO/NPOが連携し、「力強い市民社会」の形成を目指して、地域課題や国際的な課題をテーマにした提言をつくり、国際社会/地域への発信を行うことを目的とした「市民の伊勢志摩サミット」が、5月23日と24日に三重県四日市で開催されました。

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 のべ500人余りが参加したこの市民サミット。24日の全体会で採択された「市民宣言」では、地域が直面している課題と地球上を覆う深刻な課題を少しでも解決へと導くために、世界各地の市民活動と協力し合って活動を継続することを確認するとともに、自治体・国・国際機関などに対し、市民からの政策提言活動を継続して市民協働による効果的な政策づくりを進めること。そのための新たな制度やネットワークづくりを行うことが謳われました。この市民宣言は、国内外のメディアを通して全世界に発信されました。

 特筆すべき点は、愛知・岐阜・三重の三県のNGO/NPOのネットワークによって、東海「市民サミット」ネットワークが組織され、全国的なNGOのネットワーク組織である「2016年G7サミット市民社会プラットフォーム」とともに、市民社会の立場からG7に向けた政策提言が行われたこと。環境、地域づくり、保健、教育、子ども、災害、多文化共生など、通常は様々な分野/テーマで活動に取り組んでいる団体が一同に集まり、それぞれの分科会から力強い提言書/メッセージが発信されたことは、東海三県の市民団体の底力を見た思いがしました。そして、全国と地域ネットワークがリンクして会議の運営や宣言/提言を取りまとめる作業は、困難の連続だったと想像されますが、今後の国際会議における市民団体の立ち位置や、国・自治体・国際機関との連携のあり方、NGO/NPOネットワーク間の役割分担等を考える上で非常に多くの示唆に富む成果を残したように感じられます。

 また、期間中に15もの分科会が行われ、それぞれで熱心な議論が展開されたことは、今後の日本の市民社会のあり方にも一石を投じるような画期的なことだったと言えるでしょう。時間的な制約から、それぞれの分科会での議論が十分に共有されることは難しかったものの、様々な視点から同じ問題やその問題の根源を見つめることが出来たり、地域の問題と地球規模の問題の関連性を考える機会になったことは、市民活動の新たな展開や可能性を感じることとなり、こうした機会の積み重ねが今後の市民活動のさらなる発展とネットワークの拡大に繋がり、市民活動の担い手もさらに広がっていくことと期待されます。

 この2日間の成果が参加できなかった多くの人たちにどのように伝えられ、そしてその経験や教訓がどのように引き継がれることになるかが今後の課題といえるでしょう。