文字サイズ

特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク

会員になるには

スタッフ雑記帳

スタッフ雑記帳2013/06/20

6/3 アーユス総会と総会セミナーの開催報告


 6月3日に東京・墨田区の本久寺でアーユスの総会と総会セミナーが行われました。合わせてのべ35名が参加。総会では、2012年度の事業報告と決算報告、定款変更、2013年度の事業計画案及び予算案がそれぞれ満場一致で承認されました。

 続いて行われた総会セミナーでは、2013年度からNGO組織強化支援事業の対象団体となった「アクセス−共生社会をめざす地球市民の会」の野田沙良さんが講師として、アクセスの活動地であるフィリピンとの出会いや活動地の現状、活動を通して感じたことなどを率直な語り口でお話しいただきました。

 この中で、野田さんが特に強い衝撃を受けたのは、貧しくともたくましく生きている人たちの姿だったそうです。彼女曰く、それまで持っていた貧困のイメージと言えば、何もできない弱者とか、絶望・無表情でうなだれた人たちを連想していたそうですが、例えばスモーキーマウンテンといわれるゴミ捨て場で鉄・銅・プラスチックを換金する仕事をしている人たちは、他者からの蔑視や差別を受けて、しかも不衛生な住環境に置かれているのも関わらず、日々たくましく生きている。そして、女性や子どもたちは自分たちを笑顔で迎えてくれる。このように、様々な困難を乗り越えて生きている人たちにパワーをもらい、それが今の活動を支える原動力になっているそうです。

 「アクセス」は、都市部のスラム地域で保健衛生、青年育成、女性支援などの活動を行う一方、都市部の問題は根本的に農村が抱える問題とも深く結びついていることから、農村部での活動にも力を入れており、アラバット島ペレーズ地区で、教育支援、フェアトレード、青年育成、マイクロファイナンス、養豚・菜園、給食支援などの活動を行っています。こうした活動には、毎年スタディツアーに参加した人たちなど50名余りがボランティアとして加わり、いくつかのチームに分かれてアクセスの取り組みをサポートしています。

 野田さんが考える究極の支援とは「生きていてよかったと思えるような支援」だそうです。それは「貧困からの救済ではなく、希望をもてるように」するということです。野田さん自身、以前信頼していた人に裏切られ、スタッフ間の人間関係がズタズタになり、過労・心労から鬱病になったという経験をもっています。その経験から、この先幸せになれると思えることが大切であると気づき、いかに未来に希望が持てるかが重要で、そういう場を作っていくことが大事だと考えるようになったといいます。

 アクセスはいま持続可能な地域作りを推進しています。貧困に立ち向かい、食べていける農村をつくっていくこと。そして日本のlifestyleの変革をもめざしています。新しい豊かさが追求され、価値を感じられる社会にしていくこと、希望を持って生きられるようにすること。「社会は私たちの手で変えられる」という実感が得られるような、夢を描き語られる空間作りをしていきたいと今後の抱負を語ってくださいました。